第5回:重回帰分析を使って気温、降雨量、風速から来客数を予測するExcelで“複数の要因”を組み合わせた現実的な予測モデルを作ろう!

「天気が悪いとお客様が減る」「風が強い日は売上が落ちる」──
現場の感覚としてはわかっていても、それを数字で説明できる経営者は少ないのではないでしょうか?

今回は、Excelの重回帰分析を使って、気温・降雨量・風速が来客数にどう影響しているかを数値化し、来店予測モデルを作る方法を紹介します。


📊 重回帰分析とは?

これまでの「回帰分析」は“1つの要因”と“結果”の関係を調べるものでした。
一方、「重回帰分析」は複数の要因が同時に結果にどれほど影響しているかを分析します。

数式で表すと、次のようになります:

来客数 = a×気温 + b×降雨量 + c×風速 + d

たとえば「気温が高いほど来客が増える」「雨が多いと減る」「風が強いと外出を控える」など、 それぞれの要因が売上や来客数にどう関係するのかを“数字で見える化”できます。


💡 例題:天候データと来客数の関係を探る

次のような1週間分のデータを用意します。

日付気温(℃)降雨量(mm)風速(m/s)来客数(人)
1日2202180
2日2553175
3日2804200
4日20155150
5日2703195
6日18206140
7日3002210

このデータから「気温」「降雨量」「風速」がどれくらい来客数に影響しているかを調べます。


🧭 Excelで重回帰分析を行う手順

  1. 「データ分析」ツールが有効でない場合は、
    [ファイル]→[オプション]→[アドイン]→[分析ツール]を有効化します。
  2. [データ]タブ → [データ分析] → [回帰分析]を選択します。
  3. 「Y入力範囲」に来客数の列を指定します。
  4. 「X入力範囲」に気温・降雨量・風速の3列を指定します。
  5. 「ラベル」にチェックを入れ、出力先を設定して[OK]をクリック。

数秒でExcelが分析結果を出力してくれます。


📈 結果の見方(回帰係数の解釈)

出力結果の中で注目すべきは「係数(Coefficient)」の部分です。

変数係数(例)意味
気温+3.53気温が1℃上がると来客数が3.5人増える
降雨量-1.36雨が1mm降ると来客数が1.4人減る
風速+0.23風が1m/s強まっても来客数に影響がない
定数99.73基礎となる平均来客数

この結果から、晴れて暖かい日ほど来客が増え、雨の日は来客が減ることが数値で確認できます。


🔍 予測モデルとしての活用

得られた式をもとに、Excelのセルに次のように入力すると、来店予測シートを作れます。

=99.73 + (3.53 * 気温) - (1.36 * 降雨量) + (0.23 * 風速)

たとえば明日の天気予報が「気温25℃・降雨量2mm・風速3m/s」なら、
=99.73 + (3.53*25) - (1.36*2) +(0.23*3) → 186人程度と予測できます。

このようにして、イベント日や悪天候時の来客数を事前に予測し、人員配置・仕入れ量・広告投資の判断に活かすことができます。


📌 分析をさらに深めるポイント

  • 期間を長くする(季節要因も含めて精度向上)
  • 曜日や祝日などの“ダミー変数”も追加してみる
  • 売上高を目的変数に変えて“天候×売上”分析も可能

こうした分析を積み重ねることで、「どんな条件で来客が減るのか」「どの天気が最も売上を押し上げるのか」が見えてきます。


💬 まとめ:データで「経験」を裏づける経営へ

重回帰分析は一見難しそうに思えますが、Excelの機能を使えば数クリックで結果を得ることができます。
これにより、感覚ではなくデータで判断できる“科学的な経営”に一歩近づくことができます。

次回は、Excelの「ソルバー機能」を使って材料ロスを減らしながら売上を最大化する最適化手法を紹介します。
より「利益を伸ばすための意思決定」に活かせる実践分析です。


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