第3回:相関分析を使って売り上げが伸びない原因を探る“感覚ではなくデータで判断”するExcel分析術
「広告費をかけているのに売上が上がらない」「雨の日に来客が減る気がする」「曜日によって波がある」
このような“なんとなく感じている原因”を、Excelで数値的に確かめることができるのが相関分析です。
今回は、Excelの相関係数(CORREL関数)を使って、「売上が伸びない本当の理由」をデータから探る方法を紹介します。
感覚ではなく、数字で経営判断できるようになることで、戦略の精度がぐっと高まります。
■ 相関分析とは?
相関分析とは、「2つの要素の間にどの程度関係があるか」を調べる手法です。
Excelでは =CORREL(範囲1, 範囲2) を使うことで、簡単に相関係数を算出できます。
- +1 に近い → 強い正の相関(片方が上がると、もう一方も上がる)
- 0 に近い → 関係なし
- -1 に近い → 強い負の相関(片方が上がると、もう一方は下がる)
つまり、「広告費を上げると売上が上がるのか?」「雨の日は客数が減るのか?」といった関係を
データで“見える化”することができます。
■ 事例:売上が伸び悩むカフェのデータ分析
次のようなデータを想定してみましょう。
| 週 | 広告費(万円) | 平均気温(℃) | 降雨量(mm) | 客数(人) | 売上(万円) |
|---|---|---|---|---|---|
| 1週目 | 10 | 22 | 0 | 240 | 48 |
| 2週目 | 12 | 25 | 0 | 280 | 56 |
| 3週目 | 14 | 27 | 10 | 260 | 52 |
| 4週目 | 10 | 20 | 30 | 200 | 40 |
| 5週目 | 15 | 30 | 0 | 300 | 60 |
このデータをもとに、「売上」と各要因(広告費・気温・降雨量)の関係を分析してみます。
■ Excelで相関係数を求める手順
- 新しい列に相関を計算するセルを用意します。
- 例えば「売上」と「広告費」の相関を求めたい場合:
=CORREL(B2:B6, F2:F6) - 同様に「気温」や「降雨量」との相関も算出します。
すると、次のような結果が得られるとしましょう。
| 項目 | 相関係数 | 関係の強さ |
|---|---|---|
| 広告費 | 0.95 | 強い正の相関 |
| 平均気温 | 0.82 | やや強い正の相関 |
| 降雨量 | -0.88 | 強い負の相関 |
この結果から分かるのは:
- 広告費を増やすと売上が上がる傾向が強い
- 暖かい日ほど来店が増える傾向がある
- 雨の日は来店が減る(売上にマイナスの影響)
つまり、「雨天対策」や「暑い日の販促強化」が次の打ち手として見えてくるわけです。
■ 曜日別の傾向も確認してみよう
曜日によって売上が変動する場合もあります。 ピボットテーブルなどで曜日別の平均売上をまとめてみると、次のような傾向が見えるかもしれません。
| 曜日 | 平均売上(万円) |
|---|---|
| 月〜木 | 40 |
| 金 | 55 |
| 土 | 65 |
| 日 | 50 |
このような分析を重ねることで、「金・土曜は広告投資を集中」「雨の日限定クーポンを配信」など、
より的確な販促戦略を立てることができます。
■ データが示す“本当の課題”を発見する
相関分析の魅力は、「思い込みを排除できる」点にあります。
例えば、「SNS広告の反応が悪いから意味がない」と感じていた施策も、実際には他の要因(天候や曜日)が影響している可能性もあります。
データを組み合わせて分析することで、「どの要因を改善すべきか」が明確になります。
この積み重ねが、感覚頼りの経営から“データドリブン経営”への第一歩となります。
■ まとめ:数字で原因を見える化しよう
相関分析を使えば、「何が売上に影響しているか」を定量的に把握できます。
天気、広告費、曜日、担当者など、さまざまなデータを掛け合わせることで、“売上を動かす本当の要因”が見えてきます。
次回は、さらに一歩進んで「回帰分析」を使い、
「広告費をどれだけ使えば来客数がどの程度増えるのか」を予測してみましょう。
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