【第6回】モダンExcel×事務効率化の最終回 ― Excelでここまでできる!現場が“自動化”に変わる総まとめ

第1回〜第5回では、モダンExcelの基礎から、テーブル・PowerQuery・PowerPivot・データモデル・DAX・外部データ連携までを紹介してきました。

最終回となる第6回は、実際の業務でどのようにモダンExcelが活用できるのか、そしてどれほどの事務効率化が実現できるのかを具体的にまとめます。

特別なシステム導入は不要。Excelの延長線上で、ここまでの業務自動化が可能になります。


■ モダンExcelが解決する「事務作業の3大課題」

現場のExcel作業には、次の3つの課題が潜んでいます。

  • ① 手作業の転記が多く、ミスが発生しやすい
  • ② 関数だらけでメンテナンスができない
  • ③ Excelが重く、分析が遅い

モダンExcelは、この3つを全て根本的に解決します。

  • テーブルで壊れにくい表になる
  • PowerQueryで取り込み・整形・結合が全自動
  • データモデルで100万行でも高速分析
  • DAXで関数不要の集計

Excelを単なる表計算ソフトから“業務効率化ツール”に変える力があります。


■ 実例①:従業員の勤務表を自動集計(残業・休日出勤・遅刻早退まで)

PowerQueryで「フォルダ内の勤務表を一括取り込み」し、PowerPivotに送ると、以下が数秒で計算できます。

  • 実働時間
  • 休憩時間
  • 残業時間
  • 休日出勤
  • 部署別勤務実績

担当者はもう、Excelのシートを結合したり、VLOOKUPで社員名を照合する必要はありません。

毎月3〜5時間かかっていた作業が、10分以下になるケースが続出しています。


■ 実例②:発注書の自動データベース化(フォルダに入れるだけ)

発注書が乱雑に保存されている企業は非常に多いです。

PowerQueryでテンプレート化し、フォルダを監視することで:

  • 発注書 → 自動で全件ひとつに集約
  • 担当者別・商品別の発注数を自動集計
  • 月次・週次レポートをPivotで自動生成

という仕組みが構築できます。

担当者は「発注書をフォルダに入れるだけ」で完了です。


■ 実例③:日報の自動集計(案件別・社員別の生産性分析)

PowerQueryを使い、日報Excelを取り込むだけで、以下が自動化されます。

  • 案件別稼働時間
  • 社員別の作業時間
  • 残業時間の可視化
  • 月間総稼働時間の集計

さらにデータモデルにより、長期的な分析(年間推移・繁忙期分析)も可能になります。


■ 実例④:売上データを高速で分析(前年比・累計・季節変動)

DAXを使ったメジャーにより、売上データの分析は圧倒的に効率化されます。

  • 前年比
  • 前年同月比
  • 累計売上(YTD)
  • 季節要因分析
  • エリア別・店舗別比較

これらはすべて、数式をセルに書かずにPivotTable上で管理されます。 表が壊れないため、誰でも扱える状態になります。


■ 実例⑤:複数年・100万行以上のデータでも高速処理

PowerPivot(データモデル)は、Excelの常識を覆す高速処理を実現します。

実際に企業でよく扱うのは:

  • ECの受注データ(数十万〜100万行)
  • 勤怠システムのログデータ(年50万行)
  • 営業日報(数年累計で数十万行)

従来のExcelでは重すぎて破綻しますが、モダンExcelでは問題ありません。

「Excelだから無理」という発想は完全に過去のものです。


■ 実例⑥:複数データベースの取り込み(Access・SQL・MySQL)

PowerQueryはAccessやSQL Serverをはじめ、様々な企業データベースと接続できます。

  • Accessで管理している顧客・売上をExcelで分析
  • MySQLの注文データをExcelで可視化
  • 生産管理システムのDBをPowerQueryで取り込み、自動更新

ERPや高額なBIツールなしでも、Excelが手軽なBI基盤になります。


■ モダンExcel+Excelマクロ(VBA)の組み合わせが最強

モダンExcelは自動化の中心ですが、必要に応じてExcelマクロ(VBA)を組み合わせることで、さらに効果が上がります。

● VBAが得意な作業

  • レポートの自動生成
  • 印刷形式への変換
  • PDF出力とファイル保存
  • メール送付の自動化

● モダンExcelが得意な作業

  • データ収集・加工・結合
  • 大量データの高速分析
  • 外部データ連携

この2つを組み合わせると、企業内の事務作業の多くが自動化できます。

実際にReadBellでは、この組み合わせで毎月10〜30時間の削減を実現した例が多数あります。


■ モダンExcel導入の本当のメリットは“属人化の解消”

Excel作業が属人化している企業は非常に多いです。

しかし、モダンExcelは:

  • リレーションで構造が明確
  • DAXで集計(数式が散らばらない)
  • PowerQueryで前処理を自動化

という特徴があり、属人化を大幅に解消できます。

新人でも、退職した担当者の後任でも、再現性の高い仕組みで業務が進みます。


■ ReadBellの「モダンExcel × 自動化サービス」

ReadBellでは、Excelを使った事務効率化・自動化支援を提供しています。

  • PowerQueryでのデータ取り込み・自動集計フロー構築
  • PowerPivot(データモデル)設計
  • DAXメジャーの作成支援
  • 発注書・勤務表・日報の自動データベース化テンプレート
  • Excelマクロ(VBA)によるレポート自動生成
  • 既存Excelの高速化&壊れにくい構造へのリメイク

「Excelをもっと効率化したい」「毎月の作業が重すぎる」「属人化を解消したい」 そんな中小企業の現場を強力にサポートしています。


■ シリーズ総まとめ:Excelから“自動化の第一歩”を

6回にわたり、モダンExcelの全体像をお届けしてきました。

今回のシリーズをまとめると、モダンExcelとは――

“Excelのままで社内のデータ整備・自動化・分析を実現できる最強ツール”

ということです。

  • テーブルで「壊れないExcel」へ
  • PowerQueryで「転記をゼロ」に
  • PowerPivotで「100万行分析」を実現
  • DAXで「関数不要の集計」へ
  • DB・CSV・PDFなど外部連携もOK

本格的なDXに踏み出す前の第一歩として、 モダンExcelは最もコスト効率の良い選択肢です。

そして、本シリーズがあなたの業務改善のヒントになれば幸いです。

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