【第5回】Access・DB・CSV・PDFも自由自在!モダンExcelの“外部データ取り込み力”を徹底解説

前回までで、PowerQuery・PowerPivot・データモデル・DAXによる分析手法を紹介しました。 第5回では、モダンExcel最大の武器である 「外部データ取り込み」 を徹底的に解説します。

実はExcelは、シートに入力されたデータだけで分析する時代ではありません。 近年のExcelは様々な外部データと接続し、 本格的な“データ基盤”として使えるレベルに進化しています。

特にPowerQueryは、Access・SQLなどのデータベース、複数Excelファイル、CSV、PDFなど、 あらゆるデータを自動取り込みし、毎月の面倒な“転記作業”を完全に撤廃することができます。


■ Excelがつながるデータソース一覧(実はこんなに多い)

モダンExcelは、次のようなデータをすべて取り込むことができます。

  • Excel(ブック・シート)
  • フォルダ内の複数ファイル
  • CSV
  • TSV
  • XML / JSON
  • PDF(表として読み取り)
  • Access(.accdb / .mdb)
  • SQL Server
  • MySQL / PostgreSQL
  • SharePoint / OneDrive
  • Webページ(HTMLテーブル)

これほど多くのデータソースに対応しているツールは、実はExcel以外ほとんどありません。


■ 実例①:複数Excelファイルを自動で結合する

毎日・毎月届くExcelファイルを1つにまとめる作業。 これは現場で最も多い「手作業Excel業務」です。

PowerQueryを使うと、フォルダにファイルを入れるだけで:

・全ファイル連結 → 加工 → クリーニング → 集計 → レポート作成

の流れが自動化できます。

担当者が行う作業は、ただ1つ。

[更新] ボタンを押すだけ。

VLOOKUP・IFERROR・結合シート作成など一切不要です。


■ 実例②:CSV・TSVの取り込み(自動列変換・型変換も)

CSVは毎月の売上データやECデータでよく使われます。 PowerQueryを使うと:

  • 日付列の自動変換
  • 数値列の型変換
  • 不要列削除
  • 空白行削除
  • 複数ファイルの自動結合

をすべて自動記録できます。

特に型変換は大きなメリットで、数字が文字列になっている“Excelあるある”を完全に防ぎます。


■ 実例③:PDFから表を読み取る(見積書・請求書)

PowerQueryはPDFを分析し、表形式の部分を抽出することができます。

これにより、見積書・請求書・仕入れ明細などがPDFしかない場合でも:

Excelの表として取り込み → データモデルへ → 集計

が可能になります。

コピーして崩れる…という悩みから解放されます。


■ 実例④:AccessとExcelを連携する(現場で最も多い要望)

中小企業では、業務システムがAccessで構築されているケースが多くあります。 PowerQueryならAccessのテーブル・クエリを直接取り込めます。

これにより:

  • Access → Excel → 自動更新
  • 売上・顧客・案件管理のデータをExcelで分析
  • Access側でデータが増えてもExcel側は自動で反映

という構造が作れます。

Accessを使い続けながら、ExcelでBI分析だけを強化する。 このハイブリッド運用は多くの企業で成功しています。


■ 実例⑤:SQL Server / MySQL などの社内DBと接続

PowerQueryはSQL系データベースとも直接接続できます。

特に人気なのは次のパターンです:

  • ECサイトの注文DB → Excelでダッシュボード
  • 生産管理DB → Excelで工程分析
  • 勤怠システムDB → Excelで勤務時間レポート

Excelはもはや“ただの表計算ソフトではない”という実例です。


■ 取り込み後はPowerPivotで100万行でも高速集計

どれだけ大量のCSVやDBデータを取り込んでも、 データモデル(PowerPivot)に送れば、処理は高速化されます。

これにより:

  • 日報50万行
  • 売上100万行
  • 勤怠データ40万行

といった巨大データでも、Excelが快適に動作するようになります。

従来は「Excelで扱うのは無理」と言われていた領域が、モダンExcelで一気に広がりました。


■ 実例⑥:発注書・日報・勤務表の“完全自動データベース化”

PowerQuery × データモデル の組み合わせは、現場の事務作業に最も効果があります。

● 発注書の自動集約

フォルダに発注書(Excel)を置くだけで、自動で1つにまとめて集計。

● 日報の自動取り込み

社員がファイルをアップロードすると即データベース化。 作業時間や案件別稼働がリアルタイムで分析できます。

● 勤務表の自動集計

残業時間・休日出勤・遅刻早退などをPowerPivotが自動計算。

これらすべてがExcel内で完結します。


■ モダンExcelは“転記作業をゼロにする”最強ツール

外部データ取り込みは、単なる便利機能ではありません。 実はモダンExcelの本質は:

「人が手でやる繰り返し作業(転記・貼り付け)をゼロにする」

ことにあります。

PowerQueryがあれば、従来“毎月1〜3時間掛かっていた作業”が 1クリックで完了する業務に変わります。


■ ReadBellの「モダンExcel × 外部データ取り込み支援」

ReadBellでは、Excelの外部データ取り込みを中心に、 実務に直結した自動化サービスを提供しています。

  • Access・CSV・DBの自動取り込みフロー設計
  • フォルダ監視での完全自動データベース化
  • PowerQueryの効率的なMコード最適化
  • PowerPivotによる高速データモデル構築
  • Excelマクロ(VBA)でのルーティン作業自動化

「毎月の集計作業が多すぎる」「Excelが重くて動かない」 そんな企業様のDXを、現場レベルでサポートしています。


■ 次回予告:第6回は“モダンExcel×事務効率化の最終回”

最終回となる第6回では、

  • Excelだけでここまでできる!”実務改善の総まとめ
  • モダンExcel×Excelマクロ(VBA)の連携術
  • 現場で即使える自動化アイデア集
  • 企業で本当に成果が出た実例

を紹介します。

「Excelの自動化ってここまでできるのか!」 という内容で締めくくりますので、ぜひご覧ください。

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