【第2回】PowerQueryの実例紹介 ― “関数不要の自動処理”で毎日の事務作業が変わる
Excelで毎月行っているルーティン作業―― 「CSV貼り付け」「シート統合」「日報の集計」「余計な空白行削除」。 これらをすべてクリック1つで自動化できるのがPowerQueryです。
PowerQueryは、Excelに標準搭載されている“データ取り込み・変換の自動化ツール”。 関数を使わずに、誰でも「同じ処理を毎回100%同じ手順で」実行できます。 まさに、Excel初心者こそ覚えるべき最強の自動化機能です。
■ PowerQueryでできること(初心者でもここまでできる)
PowerQueryは、次のような処理をすべて自動化できます。
- 複数Excelファイルを自動で「縦に連結」
- フォルダに入れたCSVをすべて読み込み
- PDFから表を抽出する
- 不要行・不要列の削除
- 日付形式の統一
- テキスト列を分割(例:品番-色 → 列2つ)
- Access・SQL Server・MySQLなど外部DBから取得
- 取り込んだデータを自動更新
特に、「日報」「勤怠」「発注書」「月次売上」などの定型業務で絶大な効果を発揮します。
■ 実例①:複数ファイルの自動結合(CSV・Excel日報)
最もよく使われるパターンがフォルダ内のファイルをすべて結合する機能。 例えば、社員が毎日入力する日報を1つのフォルダに入れるだけで、
全社員の全日報が自動で1つの表に結合
されます。
毎月の作業は、たった1つ、[更新]ボタンをクリックするだけ。 複雑なVLOOKUPも関数コピーも不要になります。
■ 実例②:PDFからのデータ取り込み
見積書・請求書など、PDF形式の表をExcelに貼り付けたいことはありませんか? 実はPowerQueryにはPDFインポート機能があり、
PDFの中の表をそのまま取り込むことができます。
「PDFがテキスト扱いになってしまう」「コピーするとズレる」 といったExcelあるあるがPowerQueryで解決します。
■ 実例③:Accessやその他のデータベースと接続
中小企業では、現場でAccessを使っているケースが少なくありません。 PowerQueryを使えば、Accessはもちろん、
- SQL Server
- MySQL
- PostgreSQL
- Oracle
など、あらゆるデータベースと接続できます。
これにより、Excelが単なる表計算ソフトではなく、 会社のデータ分析基盤(BIツール)として使えるようになります。
■ 実例④:フォルダ監視で“完全自動化”
PowerQueryには「フォルダ単位で取り込む」機能があります。 例えば、社員が提出する勤務表(Excel)をフォルダに入れてもらえば、
ファイル名を問わず自動で連結され、毎月の勤怠集計が一瞬で完成
します。
これは企業の実務でよく導入される機能で、実際にReadBellが支援した企業でも、 手作業で3時間かかっていた勤怠集計が数十秒に短縮できました。
■ 実例⑤:PowerQueryで事務作業を自動生成(業務改善のリアル事例)
ここでは現場で特に効果の高い3つの事例を紹介します。
● 発注書の自動データベース化
発注書が毎回別々のExcelで保存されている… この問題をPowerQueryとテーブルで解決。
- 発注書テンプレートを1つに統一
- PowerQueryでフォルダ内の発注書を全て取り込み
- 自動でデータベース化+月次レポートも自動
これにより、毎月の発注集計作業は自動化されます。
● 日報の自動取り込み
現場の日報Excelをフォルダに入れると、自動で1つの表にまとめる仕組み。 毎月の集計作業はゼロになります。
● 勤怠集計の自動化
出勤簿・打刻データ・残業申請書をPowerQueryで結合し、 「残業時間」「休日出勤時間」などが自動計算される仕組み。
事務員の負担が大幅に軽減されます。
■ PowerQueryが“関数多用のデメリット”を完全に解決する
従来のExcelでは、SUMIF・VLOOKUP・IFERROR… 多くの関数を組み合わせて複雑な仕組みを作っていました。
しかし、関数に依存したExcelは壊れやすく、属人化しやすいという欠点があります。
PowerQueryを使うと、関数をほとんど使わずに、
すべて「手順の自動記録」になるため、誰が見ても同じ処理が再現できます。
これが、モダンExcelが“初心者向けの自動化ツール”と言われる理由です。
■ ReadBellの「モダンExcel導入支援」「Excelマクロ開発」
PowerQueryは非常に強力ですが、最初の設定が難しく感じる方も少なくありません。 そこでReadBellでは、次のような「実務に直結した自動化サービス」を提供しています。
- PowerQuery設定(フォルダ監視・自動結合・PDF取り込み)
- PowerPivotデータモデル構築(メジャー設定)
- Excel VBAマクロ開発(定型業務の自動化)
- 勤務表・日報・発注書の自動データベース化テンプレート
- 壊れやすいExcelの再設計(テーブル化・高速化)
Excel作業を自動化したい企業様から多くのご相談をいただいており、 「毎月の事務作業が3時間→10分に」「引き継ぎが楽になった」など、嬉しい声を多数いただいています。
■ 次回予告:第3回はPowerPivotの実例紹介
次の記事では、モダンExcelの中でも最強の高速集計ツール、 PowerPivot(データモデル)を特集します。
- 100万行でもサクサク動く理由
- VLOOKUP不要の「リレーション」仕組み
- 売上・勤怠・在庫データをまとめて分析できる方法
- メジャー(DAX)で“関数不要の集計”を実現
Excelが本当に「データベースのように」使える世界をお見せします。 ぜひ続けてご覧ください。

