【第1回】モダンExcelとは?テーブル・PowerQuery・PowerPivotで“脱Excel初心者🔰”
「Excelは得意じゃない…」「関数が多すぎて覚えられない」 そう感じている方にこそ試してほしいのが、今日のテーマである“モダンExcel”です。
近年のExcelは、従来の「表計算ソフト」ではなく、 データベース+自動化ツール+BIツールの役割を果たすほど進化しています。 特に、テーブル・PowerQuery・PowerPivot・データモデル・DAX(メジャー)を組み合わせることで、 関数をほとんど使わずに、100万行以上のデータを高速で処理できるようになりました。
本シリーズでは、事務職でも再現できる実例を交えながら、 中小企業で実際に活用できるモダンExcel術を6回にわたって解説します。
■ モダンExcelとは?従来Excelとの決定的な違い
従来のExcelは「手作業で編集する」「関数を並べて集計する」が中心でした。 しかし、モダンExcelでは次の3つが核になります。
- ① テーブル(構造化参照)で“壊れない表”になる
- ② PowerQueryで外部データを自動取り込み&変換
- ③ PowerPivotで100万行の集計も高速処理
これらを使うことで、 「コピペ」「VLOOKUP地獄」「フィルタのやり直し」などの手作業が激減します。
さらに、モダンExcelではDAXという専門言語を使うことで、 「月次売上」「前年同月比」「累計」などを高速に算出できます。
■ テーブル:関数が減る&壊れない表が作れる
Excel初心者がまず覚えるべきは“テーブル化”です。 通常の表と違い、テーブルには次のメリットがあります。
- 列追加しても数式が自動で伸びる
- フィルタ・並び替えが壊れない
- PowerQueryの取り込み元として最適
- 関数の参照が「=[売上]」のように直感的
特に、事務作業の多い中小企業では、テーブル化によるメリットは絶大です。 「社員ごとに表が壊れる」という“Excelあるある”が解消します。
■ PowerQuery:外部データの自動取り込みツール
PowerQueryは Excel 2016 以降に標準搭載されており、次のような作業を自動化できます。
- 複数ファイルの自動結合(毎月のCSV・日報ファイルなど)
- PDFからのデータ抽出
- Access・SQL Server・MySQLなど外部DBと接続
- フォルダ内のファイルを一括取り込み
- 不要列削除・フィルタなどを自動処理
これにより、従来のような「毎月CSVを貼り付ける」「日報を集計して転記する」作業が不要になります。
■ PowerPivot:100万行超のデータでも高速
通常のExcelでは 100万行を超えると重たくなりますが、 PowerPivot(データモデル)は専用エンジンで処理するため、
100万〜1000万行でも快適に集計できます。
例えば、中小企業でよくある次の例も対応できます。
- 勤怠打刻ログ(1年で20〜50万行)
- ECの受注データ(数十万行)
- 営業日報の累積データ
大量データを扱えるようになることで、Excelの可能性は一気に広がります。
■ モダンExcelが業務をどう変える?(実際の事例)
中小企業の現場で、実際に以下の自動化が行われています。
- 発注書の自動データベース化(フォルダに入れるだけで集計)
- 勤務表の自動取り込み(Excel日報をフォルダに入れると自動連結)
- 日報データの自動集計(PowerQuery+PowerPivot)
- 仕入・売上データの月次レポートを自動生成
これらはすべてモダンExcelだけで実現できます。
■ 関数を減らすとExcelはもっと使いやすくなる
関数を多用すると次のような問題が起きます。
- 別の社員が触ると壊れる
- どこに何の関数が入っているか分からない
- 社内で引き継ぎができない
しかし、モダンExcelでは、関数をほぼ使わずに、
PowerQuery → データモデル → PivotTable(メジャー)
という構造で管理されるため、属人化が大幅に減ります。
■ 第1四半期が「1月開始」になる問題の対処方法
ExcelのPivotTableで四半期を使うと、初期設定が「1月〜3月=Q1」になります。 しかし日本企業では「4月〜6月=第1四半期」にしたいケースが多いですよね。
対処方法:
- PowerQueryで「四半期列」を自作する(例:IF関数 or M言語)
- データモデルで「日付テーブル」を作る
- DAXで「Fiscal Quarter」を計算する
特にデータモデル+日付テーブルの方法が最も安定します。
■ ReadBellの「Excelマクロ開発・モダンExcel導入支援」
モダンExcelは強力ですが、最初は設定が難しいと感じる方も多いです。 ReadBellでは、以下のような実務直結型カスタマイズサービスを提供しています。
- PowerQueryによる外部データ自動取り込み
- PowerPivotでの高速集計モデル構築
- 発注書・勤務表・日報のデータベース化テンプレート
- Excelマクロ(VBA)による作業の自動化
- 既存Excelの「壊れない表」への作り替え
「月10時間以上の事務作業が削減できた」「前任者の関数を整理してほしい」など、 全国から多くのお問い合わせをいただいています。
■ 次回予告:PowerQueryの実例を徹底解説
第2回では、実際に以下の作業をPowerQueryで自動化する方法を紹介します。
- 複数ファイル(CSV・Excel)を自動で連結
- PDFからのデータ取り込み
- フォルダを監視して自動更新
- Accessや外部DBとの接続
「え、Excelだけでここまでできるの?」 と思っていただける内容になっていますので、ぜひ続けてご覧ください。


