第4回:Accessまだ使ってる?PowerQueryとデータモデルでExcelがデータベースになる!

「Accessを使える人がいない」「Excelだと表が増えすぎて管理が大変」「部署ごとに別ファイルで運用していて整合性が取れない」―― そんな課題を抱えている中小企業は少なくありません。

でも実は、もうAccessに頼る必要はありません。 ExcelのPowerQueryデータモデルを組み合わせれば、 Excelだけで“データベース的な管理”ができるのです。

そして、この仕組みはExmentのようなクラウドデータベースと構造的にほぼ同じ。 この記事では、実際にExcelを“簡易データベース化”する手順と、 Exmentへスムーズに移行できる考え方を詳しく解説します。

目次

1. 現場あるある:Access担当者がいなくて更新できない

中小企業でよく見られるのが「Accessで顧客管理していたけど、担当が辞めてメンテできない」というケース。 Accessは強力なデータベースですが、専門知識が必要です。

フォームやクエリを少し変更するだけでも「エラーが出て怖い」「修正できない」など、 結局、Excelに戻して手作業で更新している企業も多いのではないでしょうか。それに、Accessのファイルを共有フォルダで同時編集すると壊れるリスクもあり、 「もうAccessは触らないでおこう」という現場判断で放置されがちです。

また、Office製品を購入する際には、Accessが別途付属したライセンスパッケージを購入する必要があるなど予想外の出費があったりもします。

2. Excelの限界:表が増えると整合性が取れない

Excelは扱いやすい反面、「表が独立して存在する」ため、 複数の表の整合性を保つのが難しくなります。

例えばこんな状態になっていませんか?

  • 顧客リスト.xlsx(顧客名・住所)
  • 売上リスト.xlsx(顧客名・金額)
  • 請求リスト.xlsx(顧客名・請求日)

それぞれのファイルで顧客名を入力しているため、 誤字・表記ゆれ・更新漏れが頻発。 「同じ顧客なのに3つのファイルで金額が違う」というトラブルも起こります。

これを防ぐには、「1つの顧客マスターに対して売上・請求データを紐付ける」構造が必要です。 まさに、それを実現するのがExcelのデータモデルです。

3. データモデルとは?Excelがデータベースになる仕組み

Excelのデータモデルとは、複数のテーブルを“リレーション(関連付け)”して管理する仕組み。 AccessやExmentのような本格的なデータベースと考え方は同じです。

簡単に言えば、次のような関係を作ります:

マスター詳細データ関連キー
顧客マスター(顧客ID, 名前)売上データ(顧客ID, 金額)顧客ID
商品マスター(商品コード, 商品名)受注明細(商品コード, 数量)商品コード

つまり、「顧客ID」や「商品コード」を“共通キー”として、 複数の表を1つのデータモデル上でつなぐイメージです。

このデータモデルを使うと、ピボットテーブルやPowerPivotで 「顧客別売上」「商品別受注」「月別推移」などを瞬時に集計できるようになります。

4. 実践!PowerQuery+データモデルで複数表をつなぐ

では、実際にExcelでデータモデルを構築してみましょう。

① データの準備

次の3つのシートを用意します。

  • 顧客マスター:顧客ID, 顧客名, 担当者
  • 売上データ:売上ID, 顧客ID, 金額, 日付
  • 商品マスター:商品コード, 商品名, 単価

② PowerQueryで取り込み

[データ] → [データの取得] → [テーブルまたは範囲から] を選択。 それぞれのシートをPowerQueryエディタで整形し、 列名を統一(例:顧客ID → customer_id)しておきます。

③ データモデルに追加

[ホーム] → [閉じて読み込む] → [データモデルに追加] を選択。 この操作で、複数テーブルがExcel内部の「データモデル」に登録されます。

④ リレーションの作成

[データ] → [リレーションの管理] をクリック。 顧客マスターの「顧客ID」と売上データの「顧客ID」を関連付けます。

これで、顧客と売上が“つながる”構造が完成! Accessのリレーション設定と全く同じ仕組みです。

⑤ ピボットで分析

[挿入] → [ピボットテーブル] → [このブックのデータモデルを使用] を選択。 行に顧客名、列に月、値に売上金額を設定すれば、 自動的に“顧客別・月別売上集計”が完成します。

5. リレーションの考え方とExmentとの共通構造

ここまでの仕組みは、Exmentのデータ構造とほぼ同じです。 Exmentでも「テーブル(顧客・売上)」を関連付け、 画面上で「顧客情報から売上履歴を表示」できます。

違いは次の通りです:

項目Excel(データモデル)Exment
保存場所ローカルファイルクラウドデータベース
関連付け手動リレーションノーコード設定
同時編集不可(上書き注意)複数人で同時操作可能
履歴・権限手動で管理自動で記録・制御

つまり、Excelのデータモデルは「一人用データベース」ですが、 Exmentは「チームで使うクラウドデータベース」。 Excelで基礎を理解しておけば、Exment導入は驚くほどスムーズになります。

6. Before→After:Access依存からの脱却

Before(Access運用)After(Excelデータモデル)
専門知識が必要Excel操作だけで管理可能
ファイル破損リスクありExcel標準機能で安定稼働
担当者依存誰でも更新できる
フォーム変更が難しいPowerQueryで簡単整形
データ共有に制限クラウド保存で共有可能

ある製造業の例では、Accessで管理していた在庫台帳をExcel+データモデルに移行。 担当者以外でも簡単に更新できるようになり、在庫照会作業が1日から15分に短縮されました。

この状態まで整えれば、次のステップ――Exment導入でリアルタイム共有――へスムーズに進めます。

7. まとめと次回予告

  • Excelのデータモデルは“ミニデータベース”
  • Accessのようなリレーション構造をExcelでも再現可能
  • PowerQueryで複数データを自動結合できる
  • Exmentへの移行も、Excel構造をそのまま活かせる

次回は「第5回:社内のデータ活用は“Excelから始める”が正解!」。 いよいよExcelとExmentの“根本的な違い”――ファイル管理とデータベース管理の違いを掘り下げます。

8. ReadBellの支援内容

ReadBellでは、AccessやExcelの既存データをExmentへ安全に移行する支援を行っています。 「Access担当がいない」「Excelで限界を感じている」そんな企業様に向け、 テンプレート提供・初期構築・運用サポートをワンストップで提供します。

Exment導入相談はこちら

FAQ

  • Q1:データモデルはどのExcelで使えますか?
    → Excel 2016以降またはMicrosoft 365で利用可能です。
  • Q2:PowerQueryとデータモデルの違いは?
    → PowerQueryは“データの加工”、データモデルは“関係の管理”です。
  • Q3:Accessから直接移行できますか?
    → はい。AccessデータをExcelにエクスポートし、PowerQueryで整形できます。
  • Q4:Exment導入後もExcelを使えますか?
    → はい。ExmentのデータをExcelでレポート出力できます。

Accessの時代は終わり。Excelで“つながるデータ管理”を始めましょう。

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