第3回:SUM関数なんてもういらない!ピボットテーブル&PowerPivotで“見える化”を実現しよう

「毎回SUM関数を直してる」「月次報告を作るたびに関数が壊れる」「グラフ作成に時間がかかる」―― そんなExcel利用者にこそ知ってほしいのがピボットテーブルとPowerPivotです。

関数を使わず、ドラッグ操作だけで自動的にデータを集計・分析。 さらにPowerPivotを組み合わせれば、複数のテーブルをつなげてリアルタイムに“見える化”できます。

この仕組みは、Exmentの「ビュー」機能(データベースの可視化画面)と非常に近い発想です。 この記事では、日々のExcel集計を“瞬時に見える化”するための具体的な手順と活用法を紹介します。

目次

1. 現場あるある:毎回SUM関数をやり直している

営業報告書や売上集計表を作るたびに、SUMやCOUNTIFを何度もコピーしていませんか? しかも列や行を増やすと式がズレて、結果が変わってしまう。 これを修正するだけで1時間かかる、という方も少なくありません。

また、「担当者別」「月別」「支店別」と集計の切り口を変えるたびにシートを複製している場合、 そのExcelは属人化の典型です。関数のメンテナンスが大変で、他人には触れない“ブラックボックス化”が進みます。

2. SUM関数の限界とピボットテーブルの考え方

SUMやCOUNTIFは「計算のための関数」ですが、ピボットテーブルは「構造を変えずに結果をまとめる機能」です。 つまり、データを壊すことなく、どんな角度からも瞬時に分析できるのです。

ピボットの考え方はとてもシンプル:

  • 「行」→ 分けたい項目(例:担当者、支店)
  • 「列」→ 比較したい項目(例:月、商品)
  • 「値」→ 集計したい項目(例:売上金額)

この3つをドラッグで配置するだけで、関数ゼロの集計表が完成します。

3. ピボットテーブルの基本構造と強み

ピボットテーブルは、元データを「集計ビュー」に変換する仕組みです。 集計結果はリアルタイムで更新され、グラフ化もワンクリック。 具体的には次のような強みがあります:

  • 数式不要:クリック操作だけで合計・平均などを自動計算
  • データ変更に強い:元データを更新しても即反映
  • 分析の切り口を自由に変更:担当者別→月別→商品別へ自在に切り替え
  • グラフ化が簡単:「ピボットグラフ」でそのまま可視化
  • PowerQuery・PowerPivotと連携可能

一度覚えれば、レポート作成時間を70%以上短縮できるケースも珍しくありません。

4. 実践!ドラッグだけで作れる集計表

ここでは、営業実績データを例にピボットテーブルを作成してみましょう。

① データを選択してピボット作成

データ範囲を選択し、メニューの[挿入] → [ピボットテーブル]をクリック。 「新しいワークシート」を選ぶと、別タブにピボットエリアが作成されます。

② 集計したい項目を配置

フィールドリストが表示されたら、以下のようにドラッグして配置します:

  • 行:支店
  • 列:月
  • 値:売上金額

これだけで、支店×月別の売上一覧が完成!

③ 見た目を整える

合計を追加したい場合は「デザイン」→「小計と総計を表示」。 書式設定で「通貨」や「桁区切り」を設定すれば、即使える集計表が完成します。

④ グラフ化で“見える化”

[ピボットグラフ]ボタンをクリックすると、棒グラフや折れ線グラフに変換可能。 数クリックで、経営会議にも使えるグラフ資料が完成します。

5. PowerPivotで“複数表”をつなげる

通常のピボットは1つの表を元に集計しますが、実務では「顧客表」と「売上表」など、複数データを扱うことが多いですよね。 そこで登場するのがPowerPivotです。

PowerPivotを使うと、複数のテーブルを「リレーション」でつなぎ、 まるでデータベースのように一括で集計できます。

PowerPivotの設定手順

  1. [ファイル] → [オプション] → [アドイン] で「Microsoft PowerPivot for Excel」を有効化
  2. データを複数テーブルとして読み込み
  3. [PowerPivot] タブ → [管理] → [リレーションの作成]
  4. 共通のキー(顧客IDなど)でテーブルを関連付け
  5. ピボットで「複数表集計」を実現

これで、「顧客別売上」「担当者別受注」「月別請求」といった分析を1つの画面で切り替え可能になります。 もはやAccessを使わなくても、Excelだけで“データベース的分析”ができるのです。

6. Exmentのビュー機能との共通点

Exmentでは、PowerPivotのように複数テーブルを「リレーション」でつなぎ、 「ビュー画面」で任意の集計や分析ができます。

つまり、ピボット&PowerPivotはExmentの「ビュー」構造と完全に同じ考え方。 違いは、Exmentではクラウド上で複数人が同時に集計できる点です。

項目Excel(PowerPivot)Exment
データの場所ローカルPCクラウド上のDB
集計方法ピボットテーブルビュー機能
更新手動更新(再計算)リアルタイム反映
共有ファイル送信同時閲覧・権限管理

ExcelでPowerPivotを使いこなせれば、Exment導入後も操作感に戸惑うことはありません。

7. Before→After:手作業集計との違い

Before(従来のExcel)After(ピボット+PowerPivot)
関数が複雑で壊れやすいドラッグで自動集計、関数不要
データ修正ごとに手動更新元データを直すだけで再集計
部署ごとに別ファイル管理一元データを全社で共有
数値のみで見にくいグラフで直感的に見える化
報告書作成に1日数分でレポート完成

特に中小企業では、Excel集計が月末のボトルネックになっていることが多いです。 ピボットを使えば、同じデータで何通りものレポートを即作成できるため、 意思決定のスピードが劇的に上がります。

8. まとめと次回予告

  • ピボットは「関数を書かない集計ツール」
  • PowerPivotを使えば、複数表を自動で連携できる
  • Exmentのビューと同じ“データ構造の見える化”が可能
  • Excelの範囲を超えて、分析と共有の時代へ

次回は「第4回:Accessまだ使ってる? ― PowerQueryとデータモデルでExcelがデータベースになる!」 Excelから“真の一元管理”へ進化するステップを紹介します。

9. ReadBellの支援内容

ReadBellでは、ピボットテーブルのテンプレート提供やPowerPivot導入サポート、 さらにExmentへの移行支援まで一貫して対応しています。

Excelの集計を「手作業」から「データ経営」に変えるために、 まずは一度ご相談ください。

Exment導入相談はこちら

FAQ

  • Q1:ピボットテーブルの元データが増えても大丈夫?
    → テーブル化していれば自動で範囲が拡張されます。
  • Q2:PowerPivotは無料で使えますか?
    → Excel 2016以降、Microsoft 365で標準搭載されています。
  • Q3:グラフを自動更新できますか?
    → はい。元データを更新後「更新」ボタンで反映します。
  • Q4:Exmentのビューとは何が違う?
    → Excelは個人集計、Exmentはチーム集計(リアルタイム共有)です。

関数を減らして、分析時間を増やそう。ピボットが使えれば、あなたのExcelは“経営ツール”に進化します。

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