第3回:SUM関数なんてもういらない!ピボットテーブル&PowerPivotで“見える化”を実現しよう
「毎回SUM関数を直してる」「月次報告を作るたびに関数が壊れる」「グラフ作成に時間がかかる」―― そんなExcel利用者にこそ知ってほしいのがピボットテーブルとPowerPivotです。
関数を使わず、ドラッグ操作だけで自動的にデータを集計・分析。 さらにPowerPivotを組み合わせれば、複数のテーブルをつなげてリアルタイムに“見える化”できます。
この仕組みは、Exmentの「ビュー」機能(データベースの可視化画面)と非常に近い発想です。 この記事では、日々のExcel集計を“瞬時に見える化”するための具体的な手順と活用法を紹介します。
目次
- 1. 現場あるある:毎回SUM関数をやり直している
- 2. SUM関数の限界とピボットテーブルの考え方
- 3. ピボットテーブルの基本構造と強み
- 4. 実践!ドラッグだけで作れる集計表
- 5. PowerPivotで“複数表”をつなげる
- 6. Exmentのビュー機能との共通点
- 7. Before→After:手作業集計との違い
- 8. まとめと次回予告
- 9. ReadBellの支援内容
- FAQ
1. 現場あるある:毎回SUM関数をやり直している
営業報告書や売上集計表を作るたびに、SUMやCOUNTIFを何度もコピーしていませんか? しかも列や行を増やすと式がズレて、結果が変わってしまう。 これを修正するだけで1時間かかる、という方も少なくありません。
また、「担当者別」「月別」「支店別」と集計の切り口を変えるたびにシートを複製している場合、 そのExcelは属人化の典型です。関数のメンテナンスが大変で、他人には触れない“ブラックボックス化”が進みます。
2. SUM関数の限界とピボットテーブルの考え方
SUMやCOUNTIFは「計算のための関数」ですが、ピボットテーブルは「構造を変えずに結果をまとめる機能」です。 つまり、データを壊すことなく、どんな角度からも瞬時に分析できるのです。
ピボットの考え方はとてもシンプル:
- 「行」→ 分けたい項目(例:担当者、支店)
- 「列」→ 比較したい項目(例:月、商品)
- 「値」→ 集計したい項目(例:売上金額)
この3つをドラッグで配置するだけで、関数ゼロの集計表が完成します。
3. ピボットテーブルの基本構造と強み
ピボットテーブルは、元データを「集計ビュー」に変換する仕組みです。 集計結果はリアルタイムで更新され、グラフ化もワンクリック。 具体的には次のような強みがあります:
- 数式不要:クリック操作だけで合計・平均などを自動計算
- データ変更に強い:元データを更新しても即反映
- 分析の切り口を自由に変更:担当者別→月別→商品別へ自在に切り替え
- グラフ化が簡単:「ピボットグラフ」でそのまま可視化
- PowerQuery・PowerPivotと連携可能
一度覚えれば、レポート作成時間を70%以上短縮できるケースも珍しくありません。
4. 実践!ドラッグだけで作れる集計表
ここでは、営業実績データを例にピボットテーブルを作成してみましょう。
① データを選択してピボット作成
データ範囲を選択し、メニューの[挿入] → [ピボットテーブル]をクリック。 「新しいワークシート」を選ぶと、別タブにピボットエリアが作成されます。
② 集計したい項目を配置
フィールドリストが表示されたら、以下のようにドラッグして配置します:
- 行:支店
- 列:月
- 値:売上金額
これだけで、支店×月別の売上一覧が完成!
③ 見た目を整える
合計を追加したい場合は「デザイン」→「小計と総計を表示」。 書式設定で「通貨」や「桁区切り」を設定すれば、即使える集計表が完成します。
④ グラフ化で“見える化”
[ピボットグラフ]ボタンをクリックすると、棒グラフや折れ線グラフに変換可能。 数クリックで、経営会議にも使えるグラフ資料が完成します。
5. PowerPivotで“複数表”をつなげる
通常のピボットは1つの表を元に集計しますが、実務では「顧客表」と「売上表」など、複数データを扱うことが多いですよね。 そこで登場するのがPowerPivotです。
PowerPivotを使うと、複数のテーブルを「リレーション」でつなぎ、 まるでデータベースのように一括で集計できます。
PowerPivotの設定手順
- [ファイル] → [オプション] → [アドイン] で「Microsoft PowerPivot for Excel」を有効化
- データを複数テーブルとして読み込み
- [PowerPivot] タブ → [管理] → [リレーションの作成]
- 共通のキー(顧客IDなど)でテーブルを関連付け
- ピボットで「複数表集計」を実現
これで、「顧客別売上」「担当者別受注」「月別請求」といった分析を1つの画面で切り替え可能になります。 もはやAccessを使わなくても、Excelだけで“データベース的分析”ができるのです。
6. Exmentのビュー機能との共通点
Exmentでは、PowerPivotのように複数テーブルを「リレーション」でつなぎ、 「ビュー画面」で任意の集計や分析ができます。
つまり、ピボット&PowerPivotはExmentの「ビュー」構造と完全に同じ考え方。 違いは、Exmentではクラウド上で複数人が同時に集計できる点です。
| 項目 | Excel(PowerPivot) | Exment |
|---|---|---|
| データの場所 | ローカルPC | クラウド上のDB |
| 集計方法 | ピボットテーブル | ビュー機能 |
| 更新 | 手動更新(再計算) | リアルタイム反映 |
| 共有 | ファイル送信 | 同時閲覧・権限管理 |
ExcelでPowerPivotを使いこなせれば、Exment導入後も操作感に戸惑うことはありません。
7. Before→After:手作業集計との違い
| Before(従来のExcel) | After(ピボット+PowerPivot) |
|---|---|
| 関数が複雑で壊れやすい | ドラッグで自動集計、関数不要 |
| データ修正ごとに手動更新 | 元データを直すだけで再集計 |
| 部署ごとに別ファイル管理 | 一元データを全社で共有 |
| 数値のみで見にくい | グラフで直感的に見える化 |
| 報告書作成に1日 | 数分でレポート完成 |
特に中小企業では、Excel集計が月末のボトルネックになっていることが多いです。 ピボットを使えば、同じデータで何通りものレポートを即作成できるため、 意思決定のスピードが劇的に上がります。
8. まとめと次回予告
- ピボットは「関数を書かない集計ツール」
- PowerPivotを使えば、複数表を自動で連携できる
- Exmentのビューと同じ“データ構造の見える化”が可能
- Excelの範囲を超えて、分析と共有の時代へ
次回は「第4回:Accessまだ使ってる? ― PowerQueryとデータモデルでExcelがデータベースになる!」 Excelから“真の一元管理”へ進化するステップを紹介します。
9. ReadBellの支援内容
ReadBellでは、ピボットテーブルのテンプレート提供やPowerPivot導入サポート、 さらにExmentへの移行支援まで一貫して対応しています。
Excelの集計を「手作業」から「データ経営」に変えるために、 まずは一度ご相談ください。
FAQ
- Q1:ピボットテーブルの元データが増えても大丈夫?
→ テーブル化していれば自動で範囲が拡張されます。 - Q2:PowerPivotは無料で使えますか?
→ Excel 2016以降、Microsoft 365で標準搭載されています。 - Q3:グラフを自動更新できますか?
→ はい。元データを更新後「更新」ボタンで反映します。 - Q4:Exmentのビューとは何が違う?
→ Excelは個人集計、Exmentはチーム集計(リアルタイム共有)です。
関数を減らして、分析時間を増やそう。ピボットが使えれば、あなたのExcelは“経営ツール”に進化します。

