第2回:Excel関数はもう古い!PowerQueryで“関数不要の自動処理”を実現

「VLOOKUPが複雑すぎる」「毎月同じExcel集計を繰り返している」「一度作った式を壊したくない」―― そんな悩みを持つ方に知ってほしいのがPowerQuery(パワークエリ)です。

関数を書かなくても、クリック操作だけでデータを統合・変換・結合できる便利な機能。 そして実は、このPowerQueryの仕組みは、データベース(Exment)でのデータ処理とほぼ同じ発想なのです。

今回は、PowerQueryで“関数卒業”を果たし、属人作業を自動化する方法を具体的な手順で紹介します。

目次

1. 現場あるある:同じ集計を毎月やっている

営業日報、月次売上、請求データ…。毎月のように「前月ファイルをコピーして数式を貼り替え」「別ファイルからデータをVLOOKUPで引っ張る」といった作業を繰り返していませんか?

このような手作業が積み重なると、いつしか「〇〇さんしか使えないファイル」「触るのが怖い集計シート」ができてしまいます。 そして担当者が不在になると業務が止まる ― これが属人化の典型パターンです。

2. Excel関数の限界 ― VLOOKUPの壁

VLOOKUPは便利な関数ですが、実際の現場ではこんなトラブルが多発します:

  • 列順が変わるとエラー
  • シート名や参照先を更新し忘れて結果がズレる
  • ファイルを開いていないとリンクが切れる
  • 同じ数式を1000行コピーして重くなる

つまり、VLOOKUPは「1人で使う」には便利ですが、チーム運用には不向きです。 ここを自動化してくれるのがPowerQueryです。

3. PowerQueryとは何か?できることまとめ

PowerQueryは、Excelに標準搭載されている「データを取得・変換・統合する」ための機能です。 関数ではなく「処理の流れ(ステップ)」を記録するのが特徴で、 一度設定すれば、次からは「更新」ボタンを押すだけで最新データに切り替わります。

主な機能は以下の通りです:

  • 複数ファイルの自動結合(月ごとのCSVファイルやAccessなどのDB、PDFファイル、フォルダ内の複数Excel等を取込む事が可能)
  • 不要列や空白行の削除、列の書式変更(ボタン操作でクリーニング)
  • 列の分割・結合(日付から年/月を抽出など)
  • 別シート・別ファイルのデータを自動マージ
  • 更新ボタンひとつで上記の流れを自動化して再実行

まさに、VLOOKUP・COUNTIF・IF関数を組み合わせたような複雑な作業を 「クリック操作だけ」で完了できるのが最大の魅力です。

4. 実際の操作:3つのステップで自動統合

ここでは「毎月の売上ファイルを自動でまとめる」実例を紹介します。

① データを取り込む

[データ] → [データの取得] → [フォルダーから] を選択し、売上ファイルが入っているフォルダを指定します。 すると、フォルダ内の全Excelファイル(またはCSV)を一覧で読み込めます。

② 不要データを整える

PowerQueryエディタが開いたら、不要な列を右クリック→[削除]。 日付の形式を変える場合は「列を選択→データ型を変更」。 これだけで毎回の整形作業を自動化できます。

③ データを結合して出力

[結合] → [クエリの追加] を選択し、全ファイルを一括統合。 最後に「閉じて読み込む」を押せば、シートにまとめられた売上一覧が自動生成されます。

次回以降は「更新」ボタンを押すだけで、新しいファイルを自動で含めて統合してくれます。 つまり、毎月の手作業は一切不要になります。

5. データ結合の考え方 ― Exmentとの共通構造

PowerQueryの「結合」は、Exmentの「リレーション(テーブル間の関連付け)」と同じ概念です。

たとえば、次のような関係を作ることができます:

テーブルAテーブルB結合結果(PowerQuery / Exment)
顧客ID, 顧客名顧客ID, 売上金額顧客IDで一致し顧客名+売上が1行で表示

つまり、「顧客リスト」と「売上履歴」を1つの表にまとめる考え方。 Excel関数ではVLOOKUPを何十列も書かなければできなかった処理を、PowerQueryでは一瞬で行えます。 Exmentではこれをクラウド上で、複数人が同時に操作できます。

6. Before→Afterで見る効率化の実例

Before(従来の関数作業)After(PowerQuery)
毎月ファイルを開きコピペフォルダに保存するだけで自動結合
VLOOKUP関数が頻繁にエラークリック操作で安定した結合
担当者がいないと更新できない誰でも「更新」ボタンで最新化
集計に1時間わずか3分で完了

特に効果が大きいのは、複数部署で扱う売上・顧客・在庫などのデータ。 ファイルを集めるだけでPowerQueryが自動で統合し、 Exmentのような「一元管理」に近い環境がExcel内で実現できます。

7. まとめと次回予告

  • PowerQueryは“クリックで動くVLOOKUP”のようなもの
  • 一度設定すれば、毎月の更新が自動化される
  • Exmentのデータベース構造に直結する考え方
  • 属人化を防ぎ、チーム全体で同じデータを扱える

次回は「第3回:ピボットテーブル&PowerPivotで“見える化”を実現」。 データを“まとめる”から“分析する”へステップアップしましょう。

8. ReadBellの支援内容

ReadBellでは、Excel業務の自動化支援やExment導入コンサルティングを行っています。 「PowerQueryを使ってみたいけど難しそう」という方も、テンプレートや動画サポートで安心して導入可能です。

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FAQ

  • Q1:PowerQueryはどのExcelでも使えますか?
    → Excel 2016以降、またはMicrosoft 365で標準搭載されています。
  • Q2:関数やマクロと併用できますか?
    → はい。PowerQueryで整形→VBAで処理という使い方も可能です。
  • Q3:複数人で同じクエリを使えますか?
    → ファイルを共有すれば同じ設定で再利用できます。Exmentに移行すればクラウドで同時更新も可能です。

もう「関数が壊れた」と嘆かない。PowerQueryで“自動で正確なデータ”を手に入れましょう。

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