第2回:Excel関数はもう古い!PowerQueryで“関数不要の自動処理”を実現
「VLOOKUPが複雑すぎる」「毎月同じExcel集計を繰り返している」「一度作った式を壊したくない」―― そんな悩みを持つ方に知ってほしいのがPowerQuery(パワークエリ)です。
関数を書かなくても、クリック操作だけでデータを統合・変換・結合できる便利な機能。 そして実は、このPowerQueryの仕組みは、データベース(Exment)でのデータ処理とほぼ同じ発想なのです。
今回は、PowerQueryで“関数卒業”を果たし、属人作業を自動化する方法を具体的な手順で紹介します。
目次
- 1. 現場あるある:同じ集計を毎月やっている
- 2. Excel関数の限界 ― VLOOKUPの壁
- 3. PowerQueryとは何か?できることまとめ
- 4. 実際の操作:3つのステップで自動統合
- 5. データ結合の考え方 ― Exmentとの共通構造
- 6. Before→Afterで見る効率化の実例
- 7. まとめと次回予告
- 8. ReadBellの支援内容
- FAQ
1. 現場あるある:同じ集計を毎月やっている
営業日報、月次売上、請求データ…。毎月のように「前月ファイルをコピーして数式を貼り替え」「別ファイルからデータをVLOOKUPで引っ張る」といった作業を繰り返していませんか?
このような手作業が積み重なると、いつしか「〇〇さんしか使えないファイル」「触るのが怖い集計シート」ができてしまいます。 そして担当者が不在になると業務が止まる ― これが属人化の典型パターンです。
2. Excel関数の限界 ― VLOOKUPの壁
VLOOKUPは便利な関数ですが、実際の現場ではこんなトラブルが多発します:
- 列順が変わるとエラー
- シート名や参照先を更新し忘れて結果がズレる
- ファイルを開いていないとリンクが切れる
- 同じ数式を1000行コピーして重くなる
つまり、VLOOKUPは「1人で使う」には便利ですが、チーム運用には不向きです。 ここを自動化してくれるのがPowerQueryです。
3. PowerQueryとは何か?できることまとめ
PowerQueryは、Excelに標準搭載されている「データを取得・変換・統合する」ための機能です。 関数ではなく「処理の流れ(ステップ)」を記録するのが特徴で、 一度設定すれば、次からは「更新」ボタンを押すだけで最新データに切り替わります。
主な機能は以下の通りです:
- 複数ファイルの自動結合(月ごとのCSVファイルやAccessなどのDB、PDFファイル、フォルダ内の複数Excel等を取込む事が可能)
- 不要列や空白行の削除、列の書式変更(ボタン操作でクリーニング)
- 列の分割・結合(日付から年/月を抽出など)
- 別シート・別ファイルのデータを自動マージ
- 更新ボタンひとつで上記の流れを自動化して再実行
まさに、VLOOKUP・COUNTIF・IF関数を組み合わせたような複雑な作業を 「クリック操作だけ」で完了できるのが最大の魅力です。
4. 実際の操作:3つのステップで自動統合
ここでは「毎月の売上ファイルを自動でまとめる」実例を紹介します。
① データを取り込む
[データ] → [データの取得] → [フォルダーから] を選択し、売上ファイルが入っているフォルダを指定します。 すると、フォルダ内の全Excelファイル(またはCSV)を一覧で読み込めます。
② 不要データを整える
PowerQueryエディタが開いたら、不要な列を右クリック→[削除]。 日付の形式を変える場合は「列を選択→データ型を変更」。 これだけで毎回の整形作業を自動化できます。
③ データを結合して出力
[結合] → [クエリの追加] を選択し、全ファイルを一括統合。 最後に「閉じて読み込む」を押せば、シートにまとめられた売上一覧が自動生成されます。
次回以降は「更新」ボタンを押すだけで、新しいファイルを自動で含めて統合してくれます。 つまり、毎月の手作業は一切不要になります。
5. データ結合の考え方 ― Exmentとの共通構造
PowerQueryの「結合」は、Exmentの「リレーション(テーブル間の関連付け)」と同じ概念です。
たとえば、次のような関係を作ることができます:
| テーブルA | テーブルB | 結合結果(PowerQuery / Exment) |
|---|---|---|
| 顧客ID, 顧客名 | 顧客ID, 売上金額 | 顧客IDで一致し顧客名+売上が1行で表示 |
つまり、「顧客リスト」と「売上履歴」を1つの表にまとめる考え方。 Excel関数ではVLOOKUPを何十列も書かなければできなかった処理を、PowerQueryでは一瞬で行えます。 Exmentではこれをクラウド上で、複数人が同時に操作できます。
6. Before→Afterで見る効率化の実例
| Before(従来の関数作業) | After(PowerQuery) |
|---|---|
| 毎月ファイルを開きコピペ | フォルダに保存するだけで自動結合 |
| VLOOKUP関数が頻繁にエラー | クリック操作で安定した結合 |
| 担当者がいないと更新できない | 誰でも「更新」ボタンで最新化 |
| 集計に1時間 | わずか3分で完了 |
特に効果が大きいのは、複数部署で扱う売上・顧客・在庫などのデータ。 ファイルを集めるだけでPowerQueryが自動で統合し、 Exmentのような「一元管理」に近い環境がExcel内で実現できます。
7. まとめと次回予告
- PowerQueryは“クリックで動くVLOOKUP”のようなもの
- 一度設定すれば、毎月の更新が自動化される
- Exmentのデータベース構造に直結する考え方
- 属人化を防ぎ、チーム全体で同じデータを扱える
次回は「第3回:ピボットテーブル&PowerPivotで“見える化”を実現」。 データを“まとめる”から“分析する”へステップアップしましょう。
8. ReadBellの支援内容
ReadBellでは、Excel業務の自動化支援やExment導入コンサルティングを行っています。 「PowerQueryを使ってみたいけど難しそう」という方も、テンプレートや動画サポートで安心して導入可能です。
FAQ
- Q1:PowerQueryはどのExcelでも使えますか?
→ Excel 2016以降、またはMicrosoft 365で標準搭載されています。 - Q2:関数やマクロと併用できますか?
→ はい。PowerQueryで整形→VBAで処理という使い方も可能です。 - Q3:複数人で同じクエリを使えますか?
→ ファイルを共有すれば同じ設定で再利用できます。Exmentに移行すればクラウドで同時更新も可能です。
もう「関数が壊れた」と嘆かない。PowerQueryで“自動で正確なデータ”を手に入れましょう。

