第1回:そのExcelシート、本当に活用できてますか? ― もっと知ってほしいExcelをパワーアップする方法(テーブル編)
「毎日Excelを使ってるけど、いまいち効率が悪い…」「関数がずれる」「行を追加すると合計が変になる」――そんな悩み、ありませんか? 実はその原因の多くは、“ただの表”を使っていることにあります。
Excelの中には、データを整理・分析しやすくする「テーブル」という強力な機能があるのをご存じでしょうか。 この機能を知るだけで、日々の管理作業が驚くほど楽になります。 さらに、このテーブルの構造は、Exmentのようなデータベースと共通点が多いのです。
今回は、Excelテーブルを使って「脱・手作業」への第一歩を踏み出す方法を、実践手順付きでわかりやすく紹介します。
目次
- 1. 現場あるある:手作業更新の限界
- 2. Excelの課題:ただの表では属人化する
- 3. テーブル機能で何が変わる?
- 4. 実践!テーブル設定の手順
- 5. Exmentとテーブル構造の共通点
- 6. Before→After:数字で見る効果
- 7. まとめと次回予告
- 8. ReadBellの支援内容
- FAQ
1. 現場あるある:手作業更新の限界
たとえば「顧客リスト.xlsx」というファイル。営業チームや経理チームでコピーして使っていませんか? 「顧客リスト_最新版」「顧客リスト_修正版」「顧客リスト_最終(本当の最終)」――こんなファイル名が社内に並んでいれば、要注意です。
また、集計表を月ごとに新規作成して、毎回関数をコピペ…これも属人化の典型パターンです。 この状態では、誰がどのデータを更新したか分からないうえに、 ファイルが乱立して「どれが正しいのか分からない」状態に陥ります。
その結果、「最新データがどれか分からない」「集計がずれている」「関数が壊れた」など、 毎月同じようなトラブルに時間を取られていませんか?
2. Excelの課題:ただの表では属人化する
Excelで“表”を作るのは簡単ですが、その多くは実は「静的なデータ範囲」にすぎません。 つまり、新しい行を追加しても数式が自動で反映されなかったり、 並べ替えをすると一部の列がずれてしまうことがあります。
また、見た目は表でも、内部的には「ただのセルの集まり」。 データとしての“構造”が定義されていないため、 同じ作業を他の人が再現できない=属人化が起こりやすくなります。
3. テーブル機能で何が変わる?
Excelの「テーブル」機能を使うと、データが自動で範囲拡張され、 関数や書式も新しい行に自動適用されます。 つまり、「新しい行を足したらSUM範囲を直す」なんてもう不要です。
さらに、「構造化参照」という仕組みによって、 数式も「[@売上金額]」のように列名で読みやすくなります。 他の人が見てもすぐ理解できるため、チーム全体で使えるデータになります。
その他にもこんなメリットがあります:
- 列単位で並べ替えやフィルターが簡単
- スタイル設定で可読性アップ
- 自動集計行で小計や合計もワンクリック
- ピボットテーブルと相性抜群
つまり、テーブルを使うだけで、「整理」「検索」「集計」がすべて一歩進化するのです。
4. 実践!テーブル設定の手順
ここでは、たった5ステップでテーブル化する方法を紹介します。
- Excelで表全体を選択します。
- メニューの[挿入] → [テーブル]をクリック。
- 「先頭行をテーブルの見出しとして使用」にチェックを入れます。
- テーブルスタイルを選び、好みのデザインに変更。
- メニュー上の「テーブルデザイン」から、テーブル名を「顧客リスト」などに変更。
これで準備完了です。 以降は、行を追加するだけで自動的に範囲が広がり、 関数や集計行も常に最新の状態が保たれます。
Tip:テーブルを使うと、PowerQueryやPowerPivotでのデータ接続も簡単になります。 つまり、この時点で「データベース的な管理」が始まっているのです。
5. Exmentとテーブル構造の共通点
Exmentは、ブラウザ上で動く「ノーコードデータベース」です。 実はその基本構造は、Excelテーブルととても似ています。
| 項目 | Excelテーブル | Exment |
|---|---|---|
| データ単位 | 行(レコード) | レコード |
| 列の意味 | 列(フィールド) | フィールド |
| 範囲 | テーブル | テーブル(管理台帳) |
| 集計 | ピボットテーブル | ビュー機能 |
| 更新方法 | 個人が手動更新 | 複数人が同時編集 |
つまり、Excelで「テーブル思考」を身につければ、 Exmentのような本格的データベースにスムーズに移行できます。
6. Before→After:数字で見る効果
| Before(通常の表) | After(テーブル化) |
|---|---|
| SUM関数の範囲を毎回直す | 自動拡張で修正不要 |
| 並べ替えで列がずれる | 一括フィルターで安全 |
| 集計作業に30分 | 10分で完了 |
| 他人が触ると壊れる | 構造化参照で再現性UP |
たとえば「商品別売上集計表」をテーブル化しただけで、 担当者ごとの月次レポート作成時間が3分の1になった事例もあります。
7. まとめと次回予告
- Excelの“ただの表”を「テーブル化」するだけで、属人化を防げる
- 自動拡張・構造化参照で“壊れない表”が作れる
- テーブル構造はExmentデータベースの基礎と同じ
- 明日からできる「脱・手作業」の第一歩
次回は、Excelの関数作業を自動化する「PowerQuery編」。 もうVLOOKUPに悩まない世界をご紹介します。
8. ReadBellの支援内容
株式会社ReadBellでは、Excelマクロ開発やExment導入支援を通じて、 中小企業の業務効率化をサポートしています。 「まずはExcelを整えたい」という段階から相談可能です。
FAQ
- Q1:テーブルはどのExcelでも使えますか?
→ Excel 2010以降で利用可能です。 - Q2:既存の表を壊さずテーブル化できますか?
→ はい。元データを保持したまま設定可能です。 - Q3:他のシートやファイルと連携できますか?
→ PowerQueryを使えば自動連携も可能です。
今日から「テーブル」を使いこなして、Excelを“脱・手作業”のツールに進化させましょう!


