【第4回:AI時代の中小企業経営】Power Automate Desktop×Exmentで実現する「メールから自動登録」業務自動化の実例
■ 序章:メール処理に“人手”をかけすぎていませんか?
中小企業の現場では、いまでも「見積依頼メール」や「発注メール」を人が1通ずつ開いて、
Excelに転記し、フォルダに保存するという流れが多く見られます。
これらの業務は1件あたり数分、1日で数十件にもなり、担当者の大切な時間を奪います。
今回は、そんな“繰り返し作業”をPower Automate Desktop+Exmentで自動化した、ある中小製造業の実例をご紹介します。
■ 1. 課題:メール転記作業に時間とミスが発生
自動化前の業務フローは以下の通りです。
- 見積依頼メールをOutlookで受信
- 添付のPDFやExcelから顧客名・製品名・数量をコピー
- Excel台帳へ手入力
- 共有フォルダへ添付ファイルを保存
この作業を1日20件行うと、約2時間を費やしていました。
さらに人によって入力フォーマットが異なり、Exmentへの登録ミスや検索漏れが発生していました。
■ 2. 解決策:Power Automate Desktopでメール内容を自動処理
そこで導入したのがMicrosoft Power Automate Desktop。
RPAツールとして無料で利用でき、Outlook・Excel・Exment(Web)との連携が可能です。
自動化フローは以下のように構成しました。
- Outlookの受信トレイから「件名:見積依頼」を抽出
- 添付ファイルを自動的に指定フォルダへ保存
- 本文から顧客名・納期・製品名などのキーワードを抽出(ChatGPT API連携)
- 抽出したデータをExcelテンプレートに転記
- Excelを自動でExmentにインポート
この処理を1時間ごとに自動実行することで、担当者は「確認と承認」だけに集中できるようになりました。
■ 3. ChatGPTとの連携で“あいまいなメール文”にも対応
多くの見積依頼メールは、「○○の見積お願いします」といった自由記述形式です。
このような文章を人の代わりに整理するため、ChatGPT APIを組み込みました。
ChatGPTはメール本文を解析し、以下のようなJSON形式で返します。
{
"顧客名": "株式会社A商会",
"製品名": "ステンレスパイプ S-100",
"数量": "50本",
"希望納期": "10月末"
}
この結果をPower Automate Desktopが読み取り、Excelに自動転記。
AIとRPAの連携により、文章形式の依頼にも正確に対応できるようになりました。
■ 4. Exmentが「データの受け皿」として機能
Excelで蓄積していた見積台帳は、Exmentに移行することでクラウド化されました。
RPAによるデータ登録も容易で、ExmentのAPI機能を使えば、
Power Automate Desktopから直接データを登録・更新できます。
Exmentを導入したことで、
- 見積履歴がすぐに検索可能に
- 担当者別・製品別・月次の集計が自動化
- 顧客対応スピードが大幅に向上
結果として、1件あたりの見積対応時間が従来の1/4に短縮されました。
■ 5. 経営者の声:「小さな自動化が経営を変えた」
導入企業の社長は次のように語ります。
「最初は“自動化なんてうちには関係ない”と思っていました。
でも、ChatGPTとPower Automate Desktopを使った仕組みを見て驚きました。
社員が“機械的な入力”から解放されて、提案書づくりや顧客対応に時間を使えるようになったんです。
まさにAIが働き方を変えた瞬間でした。」
■ 6. 成果と今後の展望
| 項目 | 導入前 | 導入後 |
|---|---|---|
| 見積登録作業時間 | 1件あたり 約6分 | 自動化により 約1.5分 |
| 登録ミス率 | 10%以上 | ほぼ0% |
| データ共有 | 担当者ごとにExcel分散 | Exmentで一元管理 |
今後は、見積依頼だけでなく、納品書・請求書の自動登録や、AIによる需要予測にも発展させる予定です。
「自動化の第一歩」が、経営のデジタルシフトを加速させています。
■ まとめ:AI+RPA+Exmentで“現場が動く”自動化を
業務自動化は「ツールを導入すること」ではなく、
現場が使い続けられる仕組みをつくることが目的です。
ChatGPTが文章を理解し、Power Automate Desktopが処理を実行し、Exmentがデータを管理する。
この3つの連携によって、中小企業でも大企業並みの業務効率化が現実になります。
まずは、小さな自動化から始めてみませんか?


