第5回 PIVOTBYで“関数だけのクロス集計”を作る
この記事でできるようになること(ゴール)
- ✅ 支店 × 担当者などのクロス集計を数式だけで作れる
- ✅ ピボットテーブルを使わずに分析表を作成できる
- ✅ レポートやダッシュボードの基礎を理解できる
- ✅ 最新Excelの強力な集計機能を使いこなせる
よくある悩み:縦の表では分析しにくい
これまで扱ってきたデータは、次のような「縦型の表」でした。
日付/支店/担当者/売上額
しかし分析するときは、次のような表が欲しくなります。
👉 支店ごとの担当者別売上
👉 月別 × 支店別の売上
👉 商品別 × 担当者別の売上
つまり、行と列を組み合わせたクロス集計表です。
従来はピボットテーブルを使うのが一般的でしたが、
最新Excelでは関数だけで作成できます。
PIVOTBYとは?
PIVOTBYは、データを行と列の2方向で集計する関数です。
ピボットテーブルの数式版と考えると分かりやすいです。
PIVOTBYの書き方
=PIVOTBY(行フィールド, 列フィールド, 値, 集計方法)
PIVOTBYの仕組み
パーツ 意味 例
行フィールド 行方向の分類 支店(B列)
列フィールド 列方向の分類 担当者(C列)
値 集計する数値 売上額(D列)
集計方法 合計・平均など SUM
サンプル売上データ(同一)
A B C D
1 日付 支店 担当者 売上額
2 2026/04/01 東京 田中 120000
3 2026/04/01 大阪 佐藤 95000
4 2026/04/02 東京 鈴木 143000
5 2026/04/02 福岡 高橋 88000
6 2026/04/03 大阪 山本 76000
7 2026/04/03 東京 田中 158000
8 2026/04/04 福岡 中村 91000
9 2026/04/04 東京 鈴木 132000
10 2026/04/05 大阪 佐藤 110000
11 2026/04/05 東京 田中 167000
例:支店 × 担当者 の売上クロス集計
=PIVOTBY(B:B, C:C, D:D, SUM)
結果イメージ
(実際にはExcelが自動生成)
| 支店 | 田中 | 佐藤 | 鈴木 | 高橋 | 山本 | 中村 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 東京 | 445000 | — | 275000 | — | — | — |
| 大阪 | — | 205000 | — | — | 76000 | — |
| 福岡 | — | — | — | 88000 | — | 91000 |
👉 一瞬で分析表が完成します。
PIVOTBYのすごい点
① 数式だけでクロス集計
ピボットテーブルの操作は不要です。
② データ追加で自動更新
新しい行を追加しても結果が自動で変わります。
③ レイアウト変更不要
ピボットのように「更新」「再配置」の手間がありません。
④ ダッシュボードに最適
数式なので他の関数と組み合わせやすいです。
集計方法を変えることも可能
平均を出す場合
=PIVOTBY(B:B, C:C, D:D, AVERAGE)
件数を出す場合
=PIVOTBY(B:B, C:C, D:D, COUNT)
SUMIFSとの違い
| 項目 | SUMIFS | PIVOTBY |
|---|---|---|
| 条件集計 | 得意 | 得意 |
| クロス集計 | 不向き | 最適 |
| 表形式出力 | 手作業 | 自動 |
| ダッシュボード | やや手間 | 非常に簡単 |
GROUPBYとの違い(前回)
| 関数 | 集計方向 |
|---|---|
| GROUPBY | 1方向(縦) |
| PIVOTBY | 2方向(縦+横) |
実務での活用例
PIVOTBYは分析資料で非常に強力です。
営業管理
- 支店 × 担当者の売上
- 担当者 × 商品の販売数
経営分析
- 支店 × 月の売上
- 部門 × 利益
在庫管理
- 倉庫 × 商品の在庫数
初心者がつまずくポイント
① 最新Excelのみ対応
Microsoft 365 などの新しい環境が必要です。
② 元データは「1行=1件」にする
集計済みデータでは正しく分析できません。
③ 空白や表記ゆれに注意
分類項目が統一されていないと別項目として扱われます。
管理職・経営者視点:分析スピードが劇的に向上
PIVOTBYを使えると、
- 会議用資料を短時間で作れる
- 数字の比較が容易になる
- 問題点を即座に把握できる
- 分析の属人化が減る
つまり、データに基づく意思決定が可能になります。
今日のまとめ
- PIVOTBYは関数だけでクロス集計を作る強力な機能
- ピボットテーブルの数式版
- GROUPBYより高度な分析が可能
- ダッシュボード作成に最適
- 最新Excelユーザーは必須
次回予告
第6回では、すべての基盤となる
Excelテーブル(Ctrl+T)
を解説します。
- データが増えても壊れない
- 関数の範囲指定が不要
- ピボット・グラフと連携
- プロが必ず使う理由

