第6回 中小企業に必要なのは「背伸びしないDX」だった
― 安価に始めて、社員が育ち、会社が回り出す仕組み ―
ここまで全5回にわたり、
DX・OCRといった言葉の正体から始まり、
Excelを活かしたデジタイゼーション、
そして実際にオフィス業務がどう変わるのかをお伝えしてきました。
最終回となる今回は、
これらを経営視点で総括する回 です。
・結局、何から始めればいいのか
・中小企業にとってDXとは何だったのか
・目指すべきゴールはどこなのか
ここを、整理してお話しします。
多くの中小企業がDXに踏み出せない本当の理由
DXという言葉を前にして、
多くの経営者が感じているのは、次の不安です。
「お金がかかりそう」
「失敗したら取り返しがつかない」
「社員がついてこられるだろうか」
これらは決して、
ITが苦手だから生まれる不安ではありません。
会社を守ろうとする、まっとうな経営判断 です。
問題は、
DXが「大きな投資」「大きな変革」として語られすぎていることにあります。
中小企業にとって、
最初から背伸びをしたDXは、
むしろリスクになりがちです。
中小企業に必要なのは「できるDX」だけ
ここで、はっきり言い切ります。
中小企業に必要なのは、
大企業のようなDXではありません。
必要なのは、
・今の業務が少し楽になる
・ミスが減る
・社員に余裕が生まれる
こうした 現実的な改善の積み重ね です。
これまでお話ししてきた
Excelを活かしたデジタイゼーションは、
まさにそのための考え方でした。
「背伸びしないDX」とは何か
では、
このシリーズでお伝えしてきた
背伸びしないDX とは、何でしょうか。
それは、
・今あるExcelを活かす
・業務を一気に変えない
・小さく始めて、回しながら育てる
この3点に集約されます。
派手なシステムを入れなくても、
業務は確実に良くなっていきます。
段階的に進めるから、失敗しにくい
背伸びしないDXの最大の強みは、
段階的に進められること です。
例えば、
① Excelを整理する
② 入力ルールを揃える
③ 情報を一か所に集める
④ 仕組みとして定着させる
この一つ一つは、
決して難しいことではありません。
しかも、
それぞれの段階で、
・時間が浮く
・ミスが減る
・確認が楽になる
といった成果が見えます。
成果を確認しながら進められる
これが、中小企業にとって非常に重要です。
浮いた時間とお金が「次の改善」を生む
ここで、経営の視点が入ってきます。
業務改善によって、
・残業が減る
・確認作業が減る
・手戻りが減る
これらはすべて、
コスト削減 に直結します。
この削減できた分を、
・次の業務改善
・社員教育
・小さな仕組みづくり
に回していく。
この流れができると、
DXは「一度きりの投資」ではなく、
回り続ける改善サイクル になります。
仕組みができると、社員は自走し始める
このシリーズを通して、
何度も触れてきたポイントがあります。
それは、
仕組みが人を育てる ということです。
業務が整理されると、
・迷いが減る
・判断が早くなる
・確認が減る
すると社員は、
「ここ、もっと良くできそうです」
「この作業、なくても回りますね」
と、自分から改善を考え始めます。
これは、
評価制度を変えたからでも、
厳しく指導したからでもありません。
仕事が回りやすくなった結果、自然に起きる変化 です。
社長が「全部見なくていい」状態を作る
経営者にとって、
もう一つ大きなメリットがあります。
それは、
社長が細かい業務を見なくて済むようになること です。
・数字が見える
・進捗が見える
・状況が把握できる
この状態ができると、
・細かい確認
・属人的な判断
・その場しのぎの指示
が減っていきます。
結果として、
社長は 本来やるべき判断や意思決定 に
時間を使えるようになります。
DXの成果は「システム」ではなく「人」
最後に、
このシリーズで一番お伝えしたかったことをまとめます。
DXやデジタイゼーションの成果は、
新しいシステムやツールではありません。
成果は、
考えて動ける社員が増えること。
・自分で考えられる
・改善を提案できる
・仕組みを回せる
こうした人が増えた会社は、
環境が変わっても強いです。
背伸びしないDXは、誰でも始められる
DXは、
特別な会社だけのものではありません。
・ITが得意でなくても
・大きな資金がなくても
・今あるExcelから
誰でも始められます。
必要なのは、
一気に変えようとしないこと
そして、
小さな成功を積み重ねること です。
このシリーズのまとめ
最後に、
全6回の流れを振り返ります。
・第1回:DXやOCRはオフィスを楽にする話
・第2回:業務改善が失敗する理由
・第3回:Excelは悪者ではない
・第4回:デジタイゼーションという考え方
・第5回:Excelと仕組みで業務は変わる
・第6回:背伸びしないDXが会社を強くする
この流れは、
そのまま 中小企業のDXロードマップ です。
おわりに
もし今、
「何から始めればいいか分からない」
「DXに興味はあるが不安がある」
そう感じているなら、
まずは 今あるExcelを見直すこと から始めてみてください。
そこが、
会社を変える一番現実的な入口です。

