第5回 Excelと仕組みを組み合わせると

オフィス業務はここまで変わる

第4回では、「デジタイゼーション」という考え方についてお話しました。
Excelを捨てるのではなく、役割を整理し、少しずつ仕組みに置き換えていく。
それが中小企業にとって、最も現実的で失敗しにくい進め方だという内容でした。

とはいえ、ここまで読んできた方の中には、
こんな疑問が残っているかもしれません。

「理屈は分かるけど、実際どれくらい変わるの?」
「本当に仕事は楽になるの?」
「社員はちゃんとついてくるの?」

今回は、そうした疑問に答える回です。
Excelと仕組みを組み合わせたとき、オフィス業務がどう変わるのか を、
できるだけ具体的にイメージできるようにお話しします。


改善前のオフィスにありがちな風景

まずは、改善前によくあるオフィスの姿を思い浮かべてみてください。

・顧客情報は担当者ごとのExcel
・案件管理表は別のExcel
・請求書はまた別ファイル
・進捗は口頭やメールで確認

この状態でも、仕事は一応回ります。
回るからこそ、「今すぐ変えなくてもいい」と感じてしまう。

しかし、その裏側では、

・同じ情報を何度も入力
・確認のためのやり取りが多い
・ミスを防ぐための二重チェック
・引き継ぎのたびに説明が必要

といった 見えない負担 が積み重なっています。


Excelと「仕組み」を組み合わせるという発想

ここで重要なのは、
Excelをやめるか続けるか、ではありません。

Excelに“全部やらせない” という発想です。

・入力や確認はExcel
・集計や計算もExcel
・でも、情報の保管・履歴は仕組み側

この役割分担を作ることで、
オフィス業務は一気に整理され始めます。


ユースケース① 顧客管理が変わる

改善前

・顧客情報はExcel
・更新は担当者任せ
・どれが最新か分からない

改善後

・顧客情報は一か所に集約
・Excelは入力・確認用
・誰が見ても同じ情報

こうなると、

・「あの会社、今どうなってる?」と聞かれなくなる
・担当変更があっても混乱しない
・情報の探し物が激減する

顧客管理が整うだけで、
オフィスの空気が落ち着く のを実感する会社は多いです。


ユースケース② 案件・進捗管理が変わる

改善前

・案件管理はExcel
・進捗は口頭やメール
・状況確認に時間がかかる

改善後

・案件ごとに状態が見える
・Excelで更新、仕組みで共有
・誰が何をしているか分かる

この状態になると、

・管理職の確認作業が減る
・「今どうなってる?」が減る
・社員も自分の進捗を意識する

結果として、
管理する側も、される側も楽になる のです。


ユースケース③ 請求・入金管理が変わる

請求業務は、
Excelと紙が混在しやすい代表例です。

改善前

・請求書はExcel
・入金確認は別管理
・確認に時間がかかる

改善後

・請求と入金の状態が一目で分かる
・Excel入力がそのまま反映
・確認作業が減る

これにより、

・入金漏れが減る
・確認の電話やメールが減る
・経理の精神的負担が軽くなる

数字に関わる業務が安定する ことは、
会社にとって非常に大きな効果です。


ユースケース④ 教育・引き継ぎが変わる

意外と大きな変化が出るのが、
教育や引き継ぎの場面です。

改善前

・Excelの説明が必要
・口頭での引き継ぎ
・人によってやり方が違う

改善後

・情報が整理されている
・見れば分かる状態
・説明の時間が減る

これにより、

・新人が早く戦力になる
・引き継ぎの不安が減る
・ベテランの負担が減る

「教える側が楽になる」
これも大きなポイントです。


業務が変わると、社員の行動が変わる

ここまでの変化が起きると、
社員の行動にも変化が現れます。

・入力が楽
・探す時間がない
・迷うことが減る

すると社員は、

「ここ、もっとまとめられそうです」
「この作業、なくても良さそうですね」

と、自分から改善を考え始めます。

これは、
上から「改善しろ」と言われた結果ではありません。

仕組みが整ったことで、考える余裕が生まれた結果 です。


小さな成功体験が、自走を生む

ここで重要なのは、
いきなり完璧を目指していない点です。

・一つの業務
・一つのExcel
・一つの改善

そこから始めることで、

「楽になった」
「前より分かりやすい」

という 小さな成功体験 が生まれます。

この体験が、

・次もやってみよう
・ここも直せそう
・もっと良くできる

という流れを作ります。

これが、
社員が自走し始める瞬間 です。


お金をかけなくても、ここまで変わる

ここまで読んで、

「でも、結局お金がかかるのでは?」
と思った方もいるかもしれません。

確かに、
仕組みを作るには一定の工夫や時間は必要です。

しかし、

・Excelの整理
・入力ルールの統一
・情報の集約

これらは、
ほとんど大きな投資をしなくても始められます。

そして、

・残業が減る
・確認が減る
・ミスが減る

ここで生まれた余力を、
次の改善に回していく。

これが、
中小企業に合ったデジタイゼーションの進め方です。


変わるのは「やり方」だけではない

最後に、
この回で一番伝えたいことをまとめます。

Excelと仕組みを組み合わせることで変わるのは、
業務のやり方だけではありません。

・社員の動き
・職場の雰囲気
・改善に向き合う姿勢

こうした 人の部分 が、確実に変わっていきます。


次回予告

では、
こうした改善を積み重ねた先に、
会社はどんな状態になるのでしょうか。

最終回では、

・お金をかけすぎない
・社員が育つ
・自分たちで回せる

中小企業に本当に必要なDXの姿 を、
経営視点で総まとめします。

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