第4回 Excelを壊さずに進化させる

― それが「デジタイゼーション」という考え方 ―

第3回では、
Excelそのものが悪いのではなく、
「表計算止まり」で使い続けていることが問題 だという話をしました。

ここまで読んでくださった方の中には、

「じゃあ、Excelを活かしながら
どうやって業務を進化させればいいのか?」

そう感じている方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、
ここまでお話ししてきた内容を
一つの考え方として整理する回 になります。

そのキーワードが、
デジタイゼーション です。


いきなり難しい言葉を覚える必要はありません

最初にお伝えしておきます。

この言葉を覚えること自体は、重要ではありません。

むしろ、

「また横文字か…」
「DXと何が違うの?」

そう思った方もいるかもしれません。

ですが、
ここまで第1回〜第3回で説明してきたことを
振り返ってみてください。

・紙や手作業が多い
・Excelが増えすぎて混乱している
・人の頑張りで何とか回している
・改善したいが、いきなり大きな投資は怖い

これらを
少しずつ整理し、仕組みにしていくこと

これをまとめて表した言葉が、
デジタイゼーションなのです。


デジタイゼーションとDXは何が違うのか

ここで、多くの人が混乱するポイントを整理しましょう。

DX(デジタルトランスフォーメーション)

・会社の在り方そのものを変える
・新しいビジネスモデル
・大きな変革

というイメージで語られることが多い言葉です。

一方で、

デジタイゼーション

・業務をデジタル化する
・仕事のやり方を整える
・今あるものを活かす

という、もっと現場寄りの考え方 です。

中小企業にとって重要なのは、
いきなり「変革」を目指すことではありません。

まず、日々の仕事がちゃんと回る状態を作ること。

その土台を作るのが、デジタイゼーションです。


デジタイゼーションは「DXの前段階」

ここで、はっきり言い切っておきましょう。

デジタイゼーションは、DXの前段階です。

いきなりDXを目指すと、

・現場がついてこない
・コストが膨らむ
・使われない仕組みが残る

といった失敗につながりやすくなります。

一方で、
デジタイゼーションをしっかり進めると、

・業務が整理される
・データが溜まる
・社員が仕組みに慣れる

結果として、
自然にDXにつながる状態 が出来上がります。


デジタイゼーションの本質は「役割分担」

では、
デジタイゼーションとは具体的に何をすることなのでしょうか。

答えは、とてもシンプルです。

道具ごとの役割を分けること。

例えば、

・Excelは「入力・計算・確認」
・紙は「必要最小限」
・データは「一か所に集める」

これだけでも、
オフィスの混乱は大きく減ります。

Excelを捨てるのではなく、
Excelに“得意な仕事”だけを任せる。

これが、デジタイゼーションの第一歩です。


「正のデータ」をどこに置くかが分かれ道

デジタイゼーションを考える上で、
とても重要なポイントがあります。

それが、
「正のデータ(正解となる情報)」をどこに置くか
という考え方です。

多くのオフィスでは、

・人によって数字が違う
・資料によって内容が違う
・どれが正しいのか分からない

という状態が起きています。

これは、
正のデータが定まっていない ことが原因です。

Excelがいくつも存在し、
それぞれが“正しそう”に見えてしまう。

デジタイゼーションでは、

・正のデータは一か所
・Excelはそれを扱う道具

という役割分担を作ります。

これだけで、

・確認作業が減る
・問い合わせが減る
・引き継ぎが楽になる

といった変化が起こります。


いきなり完璧を目指さない

ここで注意したいのは、
最初から完璧な仕組みを作ろうとしないこと です。

よくある失敗は、

・全部の業務を一度に整理しようとする
・最初から細かく決めすぎる

結果として、

「作るのが大変」
「使いにくい」

となってしまいます。

デジタイゼーションでは、

・まず一つの業務
・まず一つのExcel
・まず一人の担当範囲

ここから始めます。

そして、
使いながら直す。

これが中小企業に合った進め方です。


デジタイゼーションは「お金をかける話」ではない

ここで、経営者の方が気になる点に触れておきます。

デジタイゼーションは、
必ずしもお金をかける話ではありません。

・Excelの整理
・入力ルールの統一
・ファイルの集約

これらは、
ほとんどコストをかけずに始められます。

そして、

・探す時間が減る
・ミスが減る
・残業が減る

こうして生まれた余力を、
次の改善に少しずつ回していく。

段階的に投資し、段階的に回収する。

これが、
中小企業にとって現実的なデジタイゼーションです。


仕組みができると、社員の動きが変わる

デジタイゼーションを進めると、
必ず起こる変化があります。

それが、
社員が考え始めること です。

・入力が楽になる
・迷いが減る
・確認が減る

すると社員は、

「この作業、いらないですね」
「ここ、まとめた方が良さそうです」

と、自分から改善案を出し始めます。

これは、
仕組みが社員を縛っているのではなく、
迷いを減らしている から起こる変化です。


デジタイゼーションは「会社を強くする下準備」

最後に、
デジタイゼーションの位置づけをまとめます。

・派手な話ではない
・すぐに成果が出るとは限らない
・でも、確実に土台を作る

この土台がある会社は、

・変化に強い
・人が育つ
・次の一手を打ちやすい

DXは、
この土台の上にしか成り立ちません。


次回予告

では、
デジタイゼーションを進めると
実際のオフィス業務はどのように変わるのか。

次回は、
Excelと仕組みを組み合わせることで生まれる
具体的な変化やユースケース を紹介します。

「本当に楽になるのか?」
「社員はどう変わるのか?」

そこを、分かりやすく解説します。

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