Excel作業を卒業するための実務ステップアップ講座
PowerPivotで始める「大量データ×高速集計」入門
第6回(最終回) DAXは怖くない
― 覚えるのは最小限、それでもExcelは別物になる ―
PowerPivotまで進んできた人が、
最後に必ず立ち止まる言葉があります。
「DAX」
- 難しそう
- 数式が長そう
- プログラミングみたい
ここまで順調に進んできたのに、
この3文字を見た瞬間に
「やっぱり自分には無理かも…」
と感じてしまう人は少なくありません。
ですが、最終回なので
はっきり言います。
DAXは、怖くありません。
そして、全部覚える必要もありません。
DAXの正体は「集計の書き方が違うだけ」
DAXとは、
PowerPivotで使う 集計用の数式です。
ここで重要なのは、
DAXは“新しい関数の世界”ではない
ということです。
考え方は、
今まで使ってきたExcelと同じです。
- 合計したい
- 件数を知りたい
- 条件で絞りたい
違うのは、
「どこで・どうやって集計するか」
だけです。
まず覚えるのは、この3つだけでいい
実務で最初に使うDAXは、
本当にこれだけです。
- SUM(合計)
- COUNT(件数)
- CALCULATE(条件付き集計)
特に重要なのは、
CALCULATE です。
CALCULATEは、
「条件を指定して集計する」
ただそれだけの役割です。
Excelで言えば、
- SUMIFS
- COUNTIFS
と、ほぼ同じ立ち位置です。
なぜDAXが必要になるのか
ここで、
ピボットテーブルを思い出してください。
通常のピボットでは、
- 表示されている範囲
- 選ばれている項目
の中でしか集計できません。
DAXを使うと、
- 表示に関係なく
- 常に正しい全体
- 常に同じ定義
で集計できます。
つまりDAXは、
「ブレない数字」を作るための道具
です。
DAXは「数字の定義」を作るもの
ここが一番大事な考え方です。
DAXで作るのは、
単なる計算式ではありません。
「この数字は、こういう意味です」
という定義です。
例えば、
- 売上合計
- 前年比売上
- 月次平均
これらをDAXで定義しておくと、
- どのピボットでも
- どのグラフでも
同じ意味の数字として使えます。
これは、
属人化しやすいExcelにとって
非常に大きな価値です。
難しいDAXは、使わなくていい
ネットや書籍を見ると、
- 時間インテリジェンス
- 複雑なフィルター
- 長い数式
が並んでいます。
ですが実務では、
DAXの8割は使いません。
まずは、
- 合計
- 件数
- 条件付き集計
これだけで十分です。
必要になったときに、
少しずつ覚えればいい。
それで問題ありません。
DAXを使うと、Excelが「設計された数字」になる
DAXを使い始めると、
Excelの見え方が変わります。
- なぜこの数字なのか
- どの条件で計算されているのか
を、
説明できるようになるからです。
これは、
- 報告
- 会議
- 引き継ぎ
すべての場面で、
大きな武器になります。
VBAやマクロと、最後に整理しておこう
このシリーズを通して、
VBAやマクロはほとんど登場しませんでした。
それは意図的です。
- VBA:操作を自動化する
- PowerQuery:データを整える
- PowerPivot:高速に集計する
- DAX:数字を定義する
役割が違うのです。
多くの実務では、
VBAを書く前に、
PowerQuery と PowerPivot を使う
これだけで、
仕事の質が大きく変わります。
Excelは、まだまだ使える
表計算から始まったExcelは、
- テーブル
- ピボット
- PowerQuery
- PowerPivot
- DAX
を経て、
立派なデータ活用ツールになります。
しかも、
- 新しいソフトを導入しなくていい
- 追加コストもかからない
- 今のExcelで始められる
これは、
現場にとって非常に大きな強みです。
このシリーズの本当のゴール
この講座のゴールは、
「Excelの達人」になることではありません。
Excelを、
安心して任せられる道具にすること
です。
- ミスを減らす
- 作業を減らす
- 説明しやすくする
その積み重ねが、
仕事全体を楽にします。
最後に
ここまで読んでいただいたあなたは、
もう Excel初級者ではありません。
そして、
「難しいことを覚えた人」でもありません。
「正しい順番で、正しい使い方を知った人」
です。
これからExcelで
どんなデータを扱っても、
今日の知識は必ず役に立ちます。


