Excel作業を卒業するための実務ステップアップ講座

PowerPivotで始める「大量データ×高速集計」入門

第5回 複数テーブルをつなげて集計する

― リレーションを理解すると、Excelの世界観が一段変わる ―


PowerPivotを使い始めた人が、
最初につまずきやすいポイントがあります。

それが、

「なぜ表を1つにまとめないのか?」

という疑問です。

Excelを長く使っていると、

・VLOOKUPで結合する
・1つの表に全部の情報を入れる
・列を横にどんどん増やす

というやり方が、
当たり前になっていることが多いからです。

ですが、PowerPivotでは
その考え方を一度リセットする必要があります。


「表をつなぐ」とは、どういうことか

PowerPivotで言う
**「複数テーブルをつなげる」**とは、

・表を物理的に結合する
のではありません。

「関係性(リレーション)を持たせる」

という考え方です。

つまり、

  • データは別々のまま
  • でも意味的にはつながっている

という状態を作ります。


図をイメージしてみる

ここで、頭の中に図を思い浮かべてください。

  • 売上データの表
     (日付・商品ID・数量・金額)
  • 商品マスタの表
     (商品ID・商品名・カテゴリ)

この2つの表は、
「商品ID」 という共通の列を持っています。

PowerPivotでは、

売上データの商品ID
 ↓
商品マスタの商品ID

という 1本の線(リレーション) を引きます。

これだけで、

  • 売上データに
  • 商品名やカテゴリが
  • 入っているかのように

集計できるようになります。


なぜVLOOKUPを使わないのか

ここで、多くの人がこう思います。

「それ、VLOOKUPでいいのでは?」

確かに、小さなデータなら問題ありません。

ですが、VLOOKUPには
次のような弱点があります。

・列が増えるほど重くなる
・参照先が壊れやすい
・どこで結合しているか分かりにくい
・データ量が増えると限界が来る

PowerPivotのリレーションでは、

・結合は1か所で定義
・数式を書かない
・列を増やさない

という形になります。

結果として、

速く、壊れにくく、説明しやすい
Excelになります。


リレーションは「設計図」

ここで重要な考え方があります。

リレーションは、
単なる便利機能ではありません。

「このデータは、こういう関係です」
という設計図
です。

  • 売上は商品にひもづく
  • 商品はカテゴリに属する
  • 日付はカレンダーに属する

こうした業務ルールを、
Excelの中に明示的に残せます。

これは、

・属人化を防ぐ
・引き継ぎを楽にする
・説明コストを下げる

という点で、非常に大きな意味を持ちます。


表を分けると、なぜ楽になるのか

「表を分ける」と聞くと、
難しそうに感じるかもしれません。

ですが実務では、
むしろ逆です。

・マスタはマスタとして管理
・取引データは取引データとして管理

これだけで、

・修正箇所が明確になる
・重複データが減る
・データの整合性が保ちやすい

というメリットがあります。

PowerPivotは、
この“当たり前の設計”を
Excelで実現する仕組み
です。


ピボット操作は、今まで通りでいい

ここも安心してほしいポイントです。

リレーションを設定したあとも、

・ピボットテーブルの操作
・行・列・値の配置

は、これまでと変わりません。

違うのは、

「別々の表の項目を
同じピボットで使える」

という点だけです。


ここを理解すると、Excelの世界観が変わる

リレーションを理解すると、

・無理に1表にまとめなくていい
・VLOOKUPを多用しなくていい
・データが増えても破綻しにくい

という状態になります。

Excelは、

「計算表」から
「データモデル」

へと進化します。


次回予告

次回は、
PowerPivotでよく誤解されがちな

「DAXって結局何?」
「どこまで覚えればいい?」

というテーマを扱います。

難しい理論は使わず、
実務で本当に必要な最小限に絞って解説します。

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