Excel表計算から一歩進む 実務活用ガイド
第6回 見せるExcelへ
― ピボットグラフで「伝わらない資料」から卒業する ―
Excelで作った資料を使って説明したあと、
こんな反応をされたことはありませんか。
・「結局、何が言いたいの?」
・「数字は分かったけど、結論は?」
・「このグラフ、どう読めばいいの?」
一生懸命作ったはずなのに、
なぜか伝わらない。
この原因は、
説明する人の話し方や、
聞く側の理解力ではありません。
多くの場合、
Excelのグラフの作り方そのものに原因があります。
グラフが伝わらない理由
よくある「伝わらないグラフ」には、
共通した特徴があります。
・情報が多すぎる
・何を比較したいのか分からない
・軸や項目がごちゃごちゃしている
・作った本人しか意図が分からない
そしてもう一つ、大きな原因があります。
それは、
グラフを“完成品”として作ってしまっていること
です。
第5回の復習:ピボットテーブルは「動かせる集計」
前回紹介したピボットテーブルは、
・切り口を自由に変えられる
・集計を作り直さなくていい
という特徴がありました。
ピボットグラフは、
この 「動かせる集計」 を
そのまま 「動かせるグラフ」 にしたものです。
つまり、
「一度作ったら終わりのグラフ」ではありません。
ピボットグラフとは何か?
ピボットグラフとは、
ピボットテーブルと連動して動くグラフ
です。
ピボットテーブルの配置を変えれば、
グラフも自動で変わります。
・月別 → 担当者別
・商品別 → 担当者×月別
といった切り替えも、
作り直しは一切不要です。
「見せるグラフ」は、作り込みすぎない
伝わらないグラフほど、
実は「頑張って作られている」ことが多いです。
・色をたくさん使っている
・項目を全部表示している
・細かい数値まで載せている
ですが、
伝わるグラフに必要なのは、情報の削減です。
ピボットグラフの良いところは、
・不要な項目をすぐ外せる
・並び替えが簡単
・絞り込みがすぐできる
という点です。
スライサーを使うと「操作できる資料」になる
ピボットグラフと一緒に使いたいのが、
スライサーです。
スライサーを使うと、
・担当者を切り替える
・月を切り替える
・商品を切り替える
といった操作を、
クリックだけで実行できます。
これにより、
「説明される資料」から
「一緒に確認できる資料」
へと変わります。
会議や打ち合わせでの説得力は、
大きく変わります。
グラフは「答え」を示すためのもの
ここで、
グラフに対する考え方を整理しましょう。
グラフの目的は、
・すべての情報を見せること
ではありません。
「何が分かったのか」を伝えること
です。
ピボットグラフを使えば、
・視点を変えながら
・問いを立てて
・その答えを探す
という使い方ができます。
Excelは「簡易BI」になれる
ここまでの第1回〜第6回を振り返ると、
Excelの役割が変わってきたことに気づくはずです。
・表 → テーブル
・ セル番地 → 構造化参照
・ 数値 → 名前の定義
・ 手作業 → ワイルドカード
・ 関数集計 → ピボット
・ 静的グラフ → ピボットグラフ
これらを組み合わせることで、
Excelは
「簡易的なBIツール」
として十分に機能します。
しかも、
・新しいツールを覚えなくていい
・VBAやマクロも不要
・今のExcelで始められる
というのが、大きな強みです。
VBAやマクロは「その先」にある
ここまで読んでいただいた方なら、
もう分かると思います。
VBAやマクロは、
Excelを便利にするための必須条件ではありません。
まずは、
・正しい型でデータを持つ
・意味が分かる形で集計する
・伝わる形で見せる
これができていれば、
実務の多くは十分に回ります。
Excelを「作業」から「武器」へ
このシリーズの目的は、
Excelを難しくすることではありません。
Excelを、
安心して使える“武器”に変えることです。
・ミスが減る
・説明しやすくなる
・引き継ぎしやすくなる
それだけで、
仕事のストレスは大きく減ります。
まとめ(全6回を通して)
Excelは、
・関数を増やさなくても
・VBAを書かなくても
「使い方」を少し変えるだけで、
驚くほど便利になります。
このシリーズが、
あなたのExcelの見方を
少しでも変えるきっかけになれば幸いです。


