Excel表計算から一歩進む 実務活用ガイド
第1回 その“表”、まだセルで使ってませんか?
― VBAなし・難しい関数なしでExcelが一気に使いやすくなる「テーブル」の話
Excelを使っていると、こんなふうに感じたことはありませんか。
・関数が増えてきて、何をしているファイルなのか分からなくなった
・列を1つ追加しただけで、数式が壊れた
・コピー&貼り付けを繰り返す作業が多く、ミスが怖い
・「Excelが苦手」とまでは言わないが、正直しんどい
こうした悩みを持つ人の多くは、
「もっと関数を覚えないといけない」
「VBAやマクロを勉強しないといけない」
と思い込んでいます。
しかし、実務の現場で多くのExcelファイルを見てきた立場から言うと、
それは半分正解で、半分は誤解です。
実はExcelには、
難しい知識を覚えなくても、作業を驚くほど楽にできる機能が最初から備わっています。
その代表的な機能が、今回紹介する 「テーブル」 です。
「表」と「テーブル」は、似ているけれど別物
多くの人が「表」と思って使っているものは、次のような状態です。
・1行目に見出しがある
・下にデータが並んでいる
・罫線も引いてある
見た目は立派ですが、Excelにとっては
**ただの“セルの集合体”**にすぎません。
この状態のまま作業を続けると、次のような問題が起きます。
・行を追加すると、数式のコピー漏れが発生する
・列を追加するたびに、SUMやVLOOKUPの範囲を修正する必要がある
・書式が崩れ、見た目を直す作業が増える
・集計や分析が、毎回「手作業」になる
これらはExcelが苦手だから起きているのではありません。
「表のまま使っている」ことが原因です。
テーブルとは何か?(難しく考えなくて大丈夫)
テーブルとは、簡単に言えば、
「Excelが“意味のあるデータのかたまり”として理解できる形式」
です。
作り方はとても簡単です。
- 表の中のどこか1セルをクリック
- キーボードで「Ctrl + T」を押す
- 「先頭行をテーブルの見出しとして使用する」にチェック
- OKを押す
これだけです。
たったこれだけで、Excelはその範囲を
単なるセルではなく、データとして扱うようになります。
テーブル化すると何が変わるのか
列を追加しても、数式が自動で入る
例えば、売上表に「粗利率」という列を追加する場面を考えてみてください。
通常の表では、
・1行目に数式を書く
・下までコピーする
・行が増えたら、またコピーする
という作業が必要です。
テーブルでは、
1行目に数式を入力するだけで、全行に自動で反映されます。
行が増えても、何も考える必要はありません。
コピー漏れというミス自体が起きなくなります。
行が増えても、集計範囲を直さなくていい
よく見かける数式に、次のようなものがあります。
=SUM(E2:E100)
この式は、100行を超えた瞬間に正しく集計されなくなります。
テーブルでは「この列全体」という考え方になるため、
・行が増えても
・月が変わっても
集計範囲を気にする必要がありません。
これは地味ですが、実務では非常に大きなメリットです。
書式が崩れない、見た目が安定する
テーブルには、次のような特徴があります。
・行を追加しても書式が自動で揃う
・交互の色付けで見やすい
・フィルターが最初から使える
「見た目を整える作業」が減るだけで、
Excel作業のストレスはかなり軽くなります。
テーブルは「便利機能」ではなく「型」
ここが、今回いちばん伝えたいポイントです。
テーブルは単なる便利機能ではありません。
**Excelで作業するための“型(かた)”**です。
・表のまま使う → 行き当たりばったり
・テーブルとして使う → 設計されたデータ
という違いがあります。
この「型」を最初に作っておくことで、
・構造化参照
・名前の定義
・ピボットテーブル
・ピボットグラフ
といった機能が、驚くほどスムーズに使えるようになります。
VBAやマクロは、まだ必要ありません
ここで安心してほしいのは、
この段階ではVBAやマクロは一切不要ということです。
覚える操作は「Ctrl + T」だけ。
考え方は「セル」から「データ」へ。
それだけで、Excelは確実に一段使いやすくなります。
このシリーズは、
高度なExcelテクニックを学ぶためのものではありません。
今使っているExcelを、
壊れにくく、楽に、安心して使えるようにする
そのためのシリーズです。
次回予告
次回は、テーブルと組み合わせることで効果が倍増する
**「構造化参照」**について解説します。
A1やB2といったセル番地ではなく、
列名で数式を書くと何が変わるのか。
「数式が読めるようになる」感覚を、
実例を交えて分かりやすく紹介します。


