第2回 PowerQueryで「集める仕事」を自動化する
Excel・CSV・PDFからのデータ取込み実践
前回は、「モダンExcel」という考え方の全体像をお伝えしました。
Excelは、単なる表計算ソフトではなく、
- データを集める
- データを整える
- 集計し、見せ、考える
という役割分担の中で、本来の力を発揮するツールだという話でした。
今回から、いよいよ手を動かします。
第2回のテーマは、「集める仕事」をExcelにやらせないことです。
多くの人が時間を奪われている作業
実務の現場では、こんな作業が日常的に行われています。
- 毎月、別部署から送られてくるExcelを開く
- CSVファイルをダブルクリックしてExcelで開く
- PDFの数値を見ながら、手入力やコピペをする
- 列の順番を並べ替える
- 不要な行を削除する
この作業自体は難しくありません。
ただし、時間がかかり、ミスが起きやすく、誰かに依存します。
しかも厄介なのは、
「作業としては単純なのに、毎回ゼロからやり直しになる」
という点です。
PowerQueryは「作業を覚えてくれるExcel」
PowerQueryを一言で表すなら、
**「Excelの中にいる、作業を記憶するアシスタント」**です。
PowerQueryは、あなたが行った操作を、
- どのファイルから
- どの列を使い
- どう加工したか
という形で記録します。
次回以降は、その記録をもとに、
同じ作業を一瞬で再現してくれます。
ここが、従来のExcel作業との決定的な違いです。
PowerQueryでできる「取込み」の種類
PowerQueryが対応しているデータソースは非常に豊富です。
実務でよく使われるものを挙げると、次のようになります。
- 他のExcelブック
- CSVファイル
- テキストファイル
- PDFファイル
- Accessデータベース
つまり、「Excel以外のデータだから面倒」という理由は、
PowerQueryを使えばほぼなくなります。
実践イメージ①:他のExcelブックから取込む
例えば、こんなケースを想像してください。
- 月次売上データは営業部が管理している
- 自分は報告資料を作る立場
- 毎月、営業部のExcelを開いてコピーしている
PowerQueryを使えば、
- 取込み元のExcelファイルを指定
- 必要なシートやテーブルを選択
- 不要な列を削除
- データ型を整える
という一連の流れを一度だけ設定すれば終わりです。
翌月、営業部が更新したファイルを上書き保存するだけで、
あなたのExcel側は「更新」ボタン一つで最新データに変わります。
実践イメージ②:CSVファイルの取込み
CSVファイルは、多くの業務システムから出力されます。
- 販売管理システム
- 会計ソフト
- 勤怠管理システム
これらをExcelで開くと、
- 文字化けする
- 日付が変になる
- 余計な列が入っている
といった問題が起こりがちです。
PowerQueryでは、
- 文字コードの指定
- 列ごとのデータ型設定
- 不要列の削除
を最初に決めてしまえます。
これにより、「CSVを開くたびに調整する」という作業が不要になります。
実践イメージ③:PDFからの取込み
PDFと聞くと、「さすがに無理では?」と思うかもしれません。
確かに、すべてのPDFが完璧に取込めるわけではありません。
しかし、
- 定型帳票
- 表形式で作られたPDF
であれば、PowerQueryはかなり高い精度でデータを抽出できます。
毎月同じ形式で届く請求書や実績表を、
手入力している場合は、一度試す価値があります。
「人がやらなくていい作業」を切り離す
ここで重要なのは、
PowerQueryは分析のための機能ではないという点です。
PowerQueryの役割は、あくまで、
- 集める
- 整える
までです。
ここを人の手でやっている限り、
- 時間は減らない
- ミスはなくならない
- 属人化は解消しない
という状態が続きます。
中小企業・一人経営こそ効果が大きい理由
「うちはデータ量が少ないから関係ない」
そう思う方もいるかもしれません。
しかし実際には、人数が少ないほどPowerQueryの効果は大きいです。
- 同じ人が何役もこなしている
- 作業時間を減らせば、そのまま余力になる
- 引き継ぎが発生しにくい
PowerQueryは、IT投資というよりも、
自分の時間を守る仕組みと考えるとイメージしやすいでしょう。
今回のゴール
第2回のゴールは、非常にシンプルです。
- データを「開いて加工する」のではなく
- データを「取り込んで更新する」
という感覚を身につけること。
この感覚を一度体験すると、
もう元のやり方には戻れなくなります。
次回予告
次回、第3回では、
- 複数ファイルの結合
- マスタデータとの突合
- データを「分析できる形」に整える
という、PowerQueryの本領に踏み込みます。
ここまで来ると、
Excelが「ただの表計算ソフト」だった頃には戻れません。

