スマホ新法で変わるアプリ戦略
― Apple・Google依存から脱却する企業の新しい選択肢 ―
第3回 自由化時代のアプリと企業コンプライアンス
― 開発・販売ベンダーと利用企業に求められる責任 ―
スマホアプリ新法によって、アプリ市場はこれまで以上に自由で多様な世界へと向かっています。
第2回では、Apple・Googleによる一極集中が崩れることで、どのようなユニークなアプリが生まれるのか、そして企業側にどのような選択肢が広がるのかを見てきました。
しかし、自由度が高まるということは、同時に責任の所在がより明確になるということでもあります。
第3回では、アプリを「作る側(開発・販売ベンダー)」と「使う側(企業・個人事業主)」の双方にとって重要となる、コンプライアンスと責任の考え方について整理していきます。
自由化は「何でもあり」ではない
まず大前提として押さえておきたいのは、スマホ新法は「規制をなくす法律」ではないという点です。
正確には、特定企業による過度な支配を是正し、公平な競争環境を整えるための法律です。
つまり、
・どんなアプリを作ってもよい
・どんな形で配信してもよい
という無制限の自由が与えられるわけではありません。
むしろ今後は、誰が、どのような責任を持ってアプリを提供しているのかが、これまで以上に問われるようになります。
開発・販売ベンダー側のメリット
開発・販売ベンダーにとって、スマホ新法は大きなチャンスでもあります。
・独自の配信形態を選べる
・業界特化・用途特化のアプリを展開しやすい
・ストア制約に縛られない設計が可能
・価格や提供形態を柔軟に設計できる
これまで「ストア審査を通すため」に諦めていた機能や構成が、より現実的になります。
特に中小規模の開発会社や、業務系システムに強いベンダーにとっては、自社の強みを活かしたアプリ展開がしやすくなるでしょう。
同時に増すベンダーの責任
一方で、自由度が増すということは、ストア側が担っていた役割をベンダー自身が背負う部分が増えることを意味します。
具体的には、
・セキュリティ対策の実装
・個人情報の取得・管理・保護
・利用規約やプライバシーポリシーの整備
・障害時・トラブル時の対応体制
・長期運用を見据えたサポート体制
といった点が、これまで以上に重要になります。
「作れる」ことよりも、
「安全に、継続して、責任を持って提供できるか」
が問われる時代に入ったと言えるでしょう。
利用企業側にも求められる視点の変化
この変化は、アプリを利用する企業や個人事業主にとっても無関係ではありません。
これまでは
「有名ストアにあるから安心」
「多くの人が使っているから安全」
といった判断が、ある意味で通用していました。
しかし今後は、
・誰が開発・運営しているのか
・どのようなサポート体制があるのか
・自社の利用目的に合っているか
・長期的に使い続けられるか
といった点を、自社の責任で見極める必要があります。
アプリは、単なる便利ツールではなく、
業務・情報・人の流れを支える基盤になりつつあります。
その選定は、IT担当者だけでなく、経営層や管理部門も関与すべきテーマになっていきます。
「コンプライアンス=面倒なもの」ではない
ここで誤解しやすいのが、「コンプライアンス=制約が増える」「自由が奪われる」というイメージです。
実際には、コンプライアンスは自由を持続させるための前提条件です。
・利用者が安心して使える
・トラブルが起きにくい
・長く使われ、信頼が積み上がる
こうした状態を作るために、最低限のルールと責任が必要なのです。
ReadOneが重視している考え方
ReadOneは、単に「アプリを作れる」サービスではありません。
企業や団体が安心して、長期的に使い続けられるアプリ基盤であることを重視しています。
・用途を限定し、無理のない運用ができる
・必要な機能だけを組み合わせられる
・サポートや運用を前提とした設計
・企業側が主導権を持てる仕組み
こうした考え方は、スマホ新法後の時代において、ますます重要になります。
自由化時代に企業が意識すべきこと
これからの時代、企業に求められるのは
「有名だから使う」
「流行っているから導入する」
という判断ではありません。
・自社はアプリを何のために使うのか
・誰と、どのようにつながりたいのか
・どこまでを自社で管理・判断するのか
これらを明確にすることで、アプリは単なるITツールではなく、企業戦略の一部になります。
次回は、こうした前提を踏まえたうえで、
ReadOneがどのように“業務アプリ”として活用できるのか
具体的な利用シーンを交えながら解説していきます。



