スマホ新法で変わるアプリ戦略

― Apple・Google依存から脱却する企業の新しい選択肢 ―

第2回 Apple・Google一極集中が崩れると何が起きるのか

― 多種多様でユニークなアプリが生まれる理由 ―


スマホアプリ新法によって注目を集めているポイントのひとつが、AppleとGoogleによる一極集中構造が緩和される可能性です。
第1回では、制度全体の概要と利用者に起きる変化を整理しましたが、第2回ではもう一歩踏み込み、「市場がどう変わるのか」「企業にとって何が起きるのか」を具体的に考えていきます。

これまでスマホアプリの世界では、事実上「App StoreかGoogle Playか」という二択しかありませんでした。
アプリを公開する側も、利用する側も、この構造を前提に考えるのが当たり前になっていたのです。


なぜApple・Google依存が問題とされてきたのか

AppleやGoogleが築いてきたエコシステムは、技術的にも運営面でも非常に完成度が高く、私たちの生活を便利にしてきました。その一方で、長年次のような課題も指摘されてきました。

・ストアの審査基準が事実上の「業界ルール」になっている
・課金や決済方法が限定され、ビジネスモデルの自由度が低い
・大規模ユーザー向けのアプリが優先されやすい
・ニッチな用途や業界特化型アプリが埋もれやすい

特に個人事業主や一般企業にとっては、「自社の業務に最適なアプリを作りたい」「限定用途で使いたい」と思っても、ストアの仕組み上、コストや手間が見合わないケースが多くありました。


新ストア解禁が意味する本当の変化

スマホ新法により、Apple・Google以外の事業者でもアプリストアを開設できるようになることは、単に「配信先が増える」という話ではありません。

これは、アプリの価値基準が変わることを意味します。

これまでのアプリ市場では、
「どれだけ多くの人に使われるか」
「ダウンロード数がどれだけ伸びるか」
といった指標が重視されてきました。

しかし今後は、
「誰のためのアプリか」
「どんな業務・課題を解決するか」
といった目的重視のアプリが成立しやすくなります。


多様でユニークなアプリが生まれる理由

新しいストアや配信形態が増えることで、次のようなアプリが現実的になります。

・特定業界専用の業務アプリ
・会員や取引先限定で使うクローズドアプリ
・社内連絡、研修、情報共有に特化したアプリ
・地域やコミュニティ単位で使うアプリ

これらは、万人向けではありません。しかし「必要な人にとっては非常に価値が高い」アプリです。

これまでであれば
「ユーザー数が少ないから」
「ストア審査や運用が大変だから」
といった理由で、企画段階で諦められていたものが、スマホ新法以降は現実的な選択肢になります。


小売以外の企業こそ影響を受けやすい

今回の変化は、実は小売以外の業種にとって特に影響が大きいと言えます。

小売業では、すでに販促アプリやポイントアプリが一定程度普及しています。一方で、一般企業や個人事業主の多くは、「アプリは自分たちには関係ない」と考えてきました。

しかし、
・顧客や会員との継続的な情報共有
・社内外への情報発信
・業務のデジタル化、効率化
・人材やパートナーとのつながり

といった観点で見ると、Webやメールよりもアプリの方が適している場面は確実に増えています。


Webサービスとアプリの境界が曖昧になる

もう一つ重要な変化が、Webサービスとアプリの境界が曖昧になっていく点です。

これまでは
「Webサイトは簡単だが、アプリは難しい」
というイメージが強くありました。

しかし現在は、ノーコードやローコード技術の進化により、アプリも「作るもの」から「組み立てるもの」へと変わりつつあります。
新ストアの登場は、この流れをさらに加速させます。


ReadOneがこの変化と相性が良い理由

こうした環境変化の中で、ReadOneのようなノーコードアプリプラットフォームは、大きな意味を持ちます。

ReadOneは、
・特定業種に縛られない
・小規模から始められる
・目的に応じて機能を組み合わせられる

という特長を持っています。

「多くの人に使われるアプリ」ではなく、
「自社にとって本当に必要なアプリ」
を作り、育てていくという考え方は、まさにスマホ新法後の時代に合ったアプローチです。


変化の時代に、企業が意識すべきこと

Apple・Google依存が崩れる時代に、企業が意識すべきなのは
「流行っているアプリを選ぶこと」ではありません。

・自社は誰とつながりたいのか
・どんな情報を、どの頻度で届けたいのか
・アプリを通じて何を実現したいのか

こうした視点を持つことで、アプリは単なるツールではなく、企業戦略の一部になります。

次回は、こうした自由度が広がる一方で重要になる
「開発・販売ベンダー側の責任」と「企業コンプライアンス」
について詳しく解説します。

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