第2回 なぜオフィスの業務改善は失敗するのか

― DXがうまくいかない会社の共通点 ―

第1回では、DXやOCRといった言葉の正体が、
「オフィスの仕事を少し楽にするための考え方」であることをお伝えしました。

それを読んで、

「なるほど、確かにうちも改善した方がいいかもしれない」
「でも、実際にやるとなると難しそうだ」

そう感じた方も多いのではないでしょうか。

実はその感覚、とても正しいです。
なぜなら 業務改善やDXは、やり方を間違えると失敗しやすい からです。

そして現場を見ていると、
失敗する会社には驚くほど共通点があります。


DXがうまくいかない会社の共通点①

「何を変えたいのか」が曖昧なまま始めている

まず最も多いのが、このケースです。

「DXをやらなきゃいけないらしい」
「周りがやっているから、うちも何かやらないと」

こうして始まるDXは、ほぼ確実に迷走します。

なぜなら、

・どの業務が一番困っているのか
・何を減らしたいのか(時間?ミス?属人化?)
・改善したら何が変わるのか

これが整理されていないからです。

結果として、

「とりあえずシステムを入れた」
「でも、前より仕事が増えた」
という残念な結末を迎えてしまいます。

DXは、目的が曖昧なまま進めると失敗する
これはほぼ例外がありません。


共通点②

いきなり高額なシステムを入れてしまう

次に多いのが、これです。

「せっかくやるなら、ちゃんとしたシステムを」
「中途半端は良くない」

この気持ち自体は、決して間違っていません。
ですが、中小企業にとっては リスクが大きすぎる選択 になることが多いのです。

・初期費用が高い
・設定が複雑
・使いこなせる人が限られる
・現場に定着しない

結果として、

「高いお金をかけたのに、使われない」
「結局、Excelに戻った」

こうした話は、決して珍しくありません。

中小企業の業務改善では、
“完璧な仕組み”より“続けられる仕組み” の方が圧倒的に重要です。


共通点③

現場のやり方を無視してしまう

DXや業務改善が失敗する最大の理由は、
現場が置き去りにされること です。

・現場にヒアリングせずに決めた
・ITベンダー任せ
・「これを使ってください」と一方的に押し付ける

こうなると、現場ではこんな声が出てきます。

「前の方が早かった」
「入力が面倒になった」
「仕事が増えただけ」

どんなに立派なシステムでも、
現場に合っていなければ意味がありません。

特に中小企業では、
一人ひとりの負担増がそのまま不満につながります。

DXは「命令」ではなく、
現場が楽になるための手段 でなければ続かないのです。


共通点④

Excelを“捨てよう”としてしまう

これは非常によくある誤解です。

「DXをするなら、もうExcelは使わない」
「Excel管理は古い」

こう考えてしまうと、現場は一気に身構えます。

なぜなら、多くの社員にとって
Excelは一番慣れている道具 だからです。

Excelを完全に否定することは、
これまで現場を支えてきたやり方や努力を
否定することにもなってしまいます。

結果として、

「どうせ分からない人が決めたんでしょ」
「また一時的なブームだろう」

そんな空気が生まれてしまいます。

Excelは問題ではありません。
“使い方”と“役割”が整理されていないこと が問題なのです。


共通点⑤

「人の頑張り」でカバーし続けている

多くのオフィスでは、
仕組みが足りない部分を 人の努力で埋めています。

・誰かが気を利かせて確認する
・ミスが出ないように二重チェックする
・忙しくても何とか回す

一見すると、素晴らしい現場力です。

しかし、これが続くとどうなるでしょうか。

・特定の人に負担が集中する
・その人が休むと止まる
・改善する余裕がなくなる

結果として、
頑張っているのに、何も変わらない 状態が続きます。

DXや業務改善の本質は、
人の頑張りを否定することではありません。

頑張らなくても回る状態を作ること
これが本来の目的です。


失敗しない会社が最初にやっていること

では、業務改善やDXがうまくいく会社は、
最初に何をしているのでしょうか。

それは、とてもシンプルです。

・今、どこで時間がかかっているか
・どこが属人化しているか
・ミスが出やすいのはどこか

これを 洗い出すだけ です。

難しいITの話は、その後で十分です。

「ここが楽になれば助かる」
「ここが整理できたら次に進める」

この感覚を共有できると、
現場も前向きに協力してくれるようになります。


業務改善は「小さく始める」方が成功する

ここで大切なのが、進め方です。

業務改善やDXは、
小さく始めて、回しながら育てる のが正解です。

・まず一つの業務だけ
・まず一人の担当範囲だけ
・まずExcelの整理だけ

これで十分です。

そこで浮いた時間、減ったミス、
楽になった実感が、次の改善への原動力になります。


次回予告

では、
「その最初の一歩」として
一番現実的で、失敗しにくい選択肢は何か。

次回は、
Excelは悪者ではない という視点から、
中小企業にとっての正しいExcelの使い方と、
“表計算止まり”から抜け出す考え方を解説します。

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